2018 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of wet laser doping technology
Project/Area Number |
16H02342
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
浅野 種正 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (50126306)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | レーザープロセッシング / ドーピング / 液中レーザー照射 / 炭化シリコン / SiC / パワーデバイス / JBSダイオード |
Outline of Annual Research Achievements |
炭化シリコン(4H型SiC)へのレーザードーピングで観測されるドーピング不純物の異常に速い拡散現象の機構の調査、およびSiCデバイスの製造において当該技術でなければできないオーム性金属接触の形成工程への応用性の調査を主に実施した。用いたレーザーはエキシマレーザーで、波長253ナノメートルの約50ナノ秒の幅のパルス光を出力するものである。 拡散係数については、アルミニウムを予めイオン注入したSiCにレーザー照射を行った場合のアルミニウムの再分布を二次イオン質量分析法により測定して拡散係数を求めた。一方、レーザー照射時のSiCの温度を二色温度法計測系を構築して計測するとともに、シミュレーションによって得られる温度を参考に決定した。これらの測定結果より、レーザー照射によりSiCの表面は昇華温度付近まで上昇していること、またこの温度付近では電気炉加熱を用いた低温域での拡散係数の外挿から得られる値よりも約6桁も大きくなることがわかった。 オーム性金属接触の形成に向けたドーピングにはレーザーパワーの尖塔値を低く抑えるとともにパルス幅を大きくすることで、ドーピング層の蒸発によるSiC表面の欠損を抑制すると同時にドーピングの表面からの深さを大きくでき、その結果、金属の接触抵抗を小さくすることができることがわかった。そこで光パルス幅拡張器を構成したレーザー照射実験系を新たに構築した。条件の最適化を図った結果、10のマイナス6乗台の極めて小さな接触抵抗をもつ電極を熱的安定性の高いチタンを用いて形成できることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
低い接触抵抗をもつ金属/SiCオーム性接触を形成するためのレーザードーピング指針を策定し、光パルス拡張器という当初計画になかった実験装置を新たに構築することによって、オーム性接触抵抗のトップデータを提示した。このデータは論文としても認められた。また、得られたデータはデバイス応用から求められる値を十分に満足するものであり、本研究で提案、創出したドーピング方法の実用性も主張できた。
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Strategy for Future Research Activity |
ほぼ計画どおりに実施する。実用性をさらに拡張できることを示すためには、pn接合ダイオードの形成が可能であることを示すことが必要である。既にその可能性を示す実験結果を公表しているが、ダイオード特性の内、耐電圧特性が十分でない。今後、耐電圧の高い接合障壁型ダイオード(JBSダイオード)を設計、試作して、動作をデモンストレーションする計画である。
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