2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H02627
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高田 礼人 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 教授 (10292062)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 人獣共通感染症 / エボラウイルス / マールブルグウイルス / フィロウイルス / 抗体 / 治療法 / 細胞侵入阻害 |
Outline of Annual Research Achievements |
エボラウイルスは、ヒトまたはサルに急性で致死率の高い感染症(エボラ出血熱)をひき起こす病原体である。現在のところ、ワクチンや治療薬は実用化されていないが、2014年の西アフリカでの大流行と欧州や米国を含めた他国への拡散によって、予防・治療法開発が急務となった。中和抗体による受動免疫および既存の化合物が緊急的に用いられたが、実用化には大きな課題が残されている。(1)これまでに作製された治療用抗体は全てZaireウイルス特異的であり他の種のエボラウイルスには効果が無い。(2)投与された化合物の有効性がサルモデルで確認されていない事に加え、それらは細胞内で作用するウイルスポリメラーゼ阻害薬であるため、大量投与に伴う副作用が大きい。そこで、本研究では全てのエボラウイルス種に有効な抗体療法開発に繋がるマウスモノクローナル抗体の作出を試みると共にエボラウイルスの細胞侵入を阻害する新規化合物を探索し、エボラ出血熱治療薬の実用化を目指す。
交差反応性抗体とエボラウイルス表面糖蛋白質GPとの結合構造解析のため、本モノクローナル抗体のFab領域とGPの複合体の電子顕微鏡による観察と、それぞれのX線解析によって得られた構造を用いたドッキングシュミレーションを、研究協力者であるErica Saphire博士と共同で進めた。その結果、Fab-GPの結合構造の解析に成功し、予想通りこの抗体はGPのfusion loopを認識することが証明された。
また、これまでに作出したマールブルグウイルスのGPに対するモノクローナル抗体の中には、ウイルス中和活性は持たないが、ウイルスの細胞外への出芽を効率的に抑えるものがあった。それらの抗体の受動免疫による治療効果を、ハムスターモデルを用いて検証した結果、非中和抗体であっても他の抗体と一緒に抗体カクテルとして用いることによって効果を示すことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エボラウイルスに対する交差反応性モノクローナル抗体に関して、詳細な構造解析によるエピトープの同定を完了した。マールブルグウイルスに対する抗体の治療効果をハムスターを用いた感染実験で確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度と同様の方法あるいは新規の免疫法を用いて交差反応性中和抗体の作出を継続するとともに、ウイルスの細胞侵入阻害効果を示す化合物の作用メカニズムの解析を進める。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Seroprevalence of Filovirus Infection of Rousettus aegyptiacus Bats in Zambia2018
Author(s)
Changula K, Kajihara M, Mori-Kajihara A, Eto Y, Miyamoto H, Yoshida R, Shigeno A, Hang'ombe B, Qiu Y, Mwizabi D, Squarre D, Ndebe J, Ogawa H, Harima H, Simulundu E, Moonga L, Kapila P, Furuyama W, Kondoh T, Sato M, Takadate Y, Kaneko C, Nakao R, Mukonka V, Mweene A, Takada A
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Journal Title
J Infect Dis
Volume: 218(Suppl 5)
Pages: S312-S317
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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