2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H02667
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
柏倉 幾郎 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (00177370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲波 修 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (10193559)
渡邉 純 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (10201188)
中井 雄治 弘前大学, 地域戦略研究所, 教授 (10321788)
山村 仁 弘前大学, 医学研究科, 教授 (10438228)
吉野 浩教 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (10583734)
細田 正洋 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (30457832)
床次 眞司 弘前大学, 被ばく医療総合研究所, 教授 (80247254)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 被ばく医療 / 放射線防護剤 / 被ばくマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は下記の4項目を検討課題として設定した。 ① 蛍光ガラス線量計を用いた人体ファントムを作製し、シミュレーションから求めた吸収線量の妥当性を検討する。② 曝露後の個体の線量分布評価方法と、障害予測バイオマーカーへの生体内分子の活用と両者の関連性把握。③ 線量当量と放射線感受性の個体差、それに応じた放射線障害を軽減する治療法の関連性検討。④ 致死を回避した曝露個体の白血球や発がん等の観察と変動する生体内分子の探索を継続。これらに加えて、昨年度検討した国内承認薬の中ではロミプロスチム(RP)が極めて高い致死回避効果を示した事から、RPの放射線障害軽減の作用機序についてより詳細に検討する。 その結果、①での検討成果を論文化し、②の検討では線量評価マーカーの探索から、成果の一部を「放射線被ばくの検出方法」(特願2018-223161、平成30年11月29日)として特許出願した。③については酸化ストレスを制御する転写因子であるNrf2標的遺伝子の変動を解析し、RP投与個体の脾臓細胞においてFth1、Nqo1、Gclc、Gclmの発現が有意に増加することを見出した。④については、高精度質量分析計による血清成分の解析から照射後18日目に有意に増加し、RP投与個体で有意に低下する10種類のタンパク質を同定した。これらの成果の一部は、国際学術誌にて発表し(Sci Rep, 2018; Free Radical Bio Med, 2019)、さらに16th International Congress of Radiation Research(ICRR)2019 (Aug 25-29, Manchester)で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究成果を、ハイインパクトな国際学術誌にて発表し(Sci Rep, 2018, IF=4.129; Free Radical Bio Med, 2019, IF=6.020)、さらに、線量評価マーカーの探索から、成果の一部を「放射線被ばくの検出方法」(特願2018-223161、平成30年11月29日)として特許出願するに至っている。また、酸化ストレスを制御する転写因子であるNrf2標的遺伝子の変動を解析し、ロミプロスチム投与個体の脾臓細胞においてFth1、Nqo1、Gclc、Gclmの発現が有意に増加することを見出した。これら個体より採取した血清成分について、高精度質量分析計による血清成分の解析から、照射後18日目に有意に増加し、ロミプロスチム投与個体で有意に低下する10種類のタンパク質を同定した。これらは当初の計画では想定出来なかった成果であり、本研究課題は当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
【平成 31 年度の研究計画・方法】 平成 31 年度は、過去 3 年間の検討で得られた成果をもとに、検討課題に掲げた下記3 課題に関する最終評価へとつなげる。① シミュレーションや実測から求めた様々な緊急被ばく状況に応じた人体の吸収線量を整理し、事故時の物理学的線量評価のアルゴリズムを定式化するとともにそれらの不確かさを評価し、線量評価方法を確立する。② 物理線量評価、障害予測・診断及び治療効果や晩発影響バイオマーカーとの関連性の検討。③ 至適薬物療法の放射線による粘膜障害治癒や骨髄抑制再生効果等、がん放射線治療副作用軽減への応用の可能性について検討。
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Research Products
(15 results)