2017 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナルネットワークを基盤とした歯槽骨代謝回転制御法の開発
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16H02691
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
小林 泰浩 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (20264252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平賀 徹 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (70322170)
高橋 直之 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 特任教授 (90119222)
山下 照仁 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 准教授 (90302893)
上原 俊介 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (90434480)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Wnt / Pkn3 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)Sfrp5による骨量増加作用の解明:骨芽細胞の培養にSfrp5を添加すると、BMP2誘導性の骨芽細胞分化が促進される。そこで、リアルタイムPCRを用いて骨芽細胞マーカーの遺伝子発現を調べた。Sfrp5の添加により、Osterix, Alpl, Bglapの発現が亢進した。Wnt-beta-cateninシグナルの標的遺伝子であるAxin2およびLef1の発現は、Sfrp5の添加により変化しなかった。この結果は、Sfrp5がWnt-beta-cateninシグナル以外のシグナルを活性化し、石灰化を亢進していることを示唆する。 2)Wnt5a-Ror2シグナルによる破骨細胞活性機構の解明: Wnt5a-Ror2シグナルの下流で活性化されるRhoエフェクター分子Pkn3の骨吸収における役割を明らかにするため、Pkn3ノックアウトマウス (KO) の大腿骨を解析した。microCT解析では、野生型にくらべ、Pkn3KOの大腿骨の海綿骨量は増加した。骨形態計測の結果、Pkn3KOの骨芽細胞数、石灰化速度など骨形成パラメーターは、野生型と変わりなかった。一方、破骨細胞数に変化を認めなかったものの、Pkn3KOの骨吸収面は、顕著に低下した。また、骨吸収マーカーである血清CTXのPkn3KOで、顕著に減少した。これらの結果は、Pkn3KOマウスでは、破骨細胞の骨吸収機能の低下による骨吸収不全を呈することが明らかになった。破骨細胞前駆細胞を象牙切片上で、RANKLとM-CSF存在下で培養し、破骨細胞形成を誘導した。Pkn3KO由来の破骨細胞前駆細は、野生型と同様に破骨細胞に分化した。一方、骨吸収窩数は、Pkn3KO由来の破骨細胞の培養で、顕著に減少した。以上から、Pkn3は、破骨細胞の骨吸収機能に重要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)Sfrp5による骨量増加作用の解明および2)Wnt5a-Ror2シグナルによる破骨細胞活性機構の解明ともにおおむね順調に進行している。1)に関して、Sfrp5の抗体を用いた免疫沈降法で、Sfrp5に結合する分子の同定を試みている。しかし、免疫沈降物のSDS-PAGE解析において、Sfrp5に結合する特異的なバンドが得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
Sfrp5の抗体を用いて免疫沈降を行っているが、タグつきのSfrp5を発現させて、タグに対する抗体を用いて、免疫沈降を試みる。 骨芽細胞の培養系で、発現上昇するWntリガンドを同定し、そのWntとSfrp5が結合するかを検討する。 Pkn3が破骨細胞の骨吸収機能を調節する機構を免疫沈降法を用いて明らかにする。
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Research Products
(7 results)