2019 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナルネットワークを基盤とした歯槽骨代謝回転制御法の開発
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16H02691
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
小林 泰浩 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (20264252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平賀 徹 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70322170)
高橋 直之 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 特任教授 (90119222)
山下 照仁 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 准教授 (90302893)
上原 俊介 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (90434480)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨芽細胞 / 破骨細胞 / Sfrp5 / Pkn3 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)Sfrp5による骨量増加作用の解明:骨芽細胞の培養にSfrp5を添加すると、BMP2誘導性の骨芽細胞分化が促進される。この機構を明らかにするため、発現が上昇したmRNAのプロモーター領域をマッピングして解析するCap Analysis of Gene expression)解析を行った。Sfrp5の添加により古典的Wnt経路の標的遺伝子の発現が低下していた。Sfrp5の添加により、BMPの標的遺伝子であるId1の発現が上昇することが明らかになった。骨芽細胞の初期分化においては、Wnt古典経路が抑制され、BMP経路が亢進する可能性が示唆された。 2)Wnt5a-Ror2シグナルによる破骨細胞活性化機構の解明:卵巣摘出術(OVX) を施した10 週齢のマウスにPkn3 阻害剤Xを2 mg /kg で4 週間腹腔投与し、マイクロCT により骨量を解析した。OVX群は、Sham 群に比べ、海綿骨量が顕著に低下しており、Pkn3 阻害剤X投与により有意に回復した。骨形態計測により、Pkn3 阻害剤Xの投与は、破骨細胞面に影響しないことが明らかになった。一方、骨吸収の指標である吸収窩の深さ及び血清CTX-I 濃度は、OVX により増加し、Pkn3 阻害剤X投与により減少した。骨芽細胞面及び骨形成速度、骨形成マーカーである血清アルカリフォスファターゼ活性にPkn3 阻害剤X投与は影響しなかった。In vitro においても、Pkn3 阻害剤Xは、骨芽細胞の石灰化を抑制しなかった。このことは、Pkn3 遺伝子発現が、破骨細胞と比べて骨芽細胞で顕著に低いことと一致した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1)Sfrp5による骨量増加作用の解明および2)Wnt5a-Ror2シグナルによる破骨細胞活性機構の解明ともにおおむね順調に進行している。1)に関して、骨芽細胞分化の初期段階における、BMPとWntシグナルの相互作用の役割が明らかになりつつある。2)Pkn3低分子阻害剤の骨吸収抑制作用を発見した点は、大きな進捗であると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)Sfrp5によるBMPシグナルの亢進作用の解析に関して、ウェスタンブロッティングを行い、BMPのシグナルが活性化しているか?古典的Wnt経路がBMPシグナルを抑制するかを検討し、骨芽細胞分化におけるBMPとWntシグナルの相互作用を明らかにする。 2)Pkn3阻害剤によってc-Src活性が阻害されるかおよびその機構を明らかにする。
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Research Products
(9 results)