2016 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular epidemiology of virulence of microbiome considering host immune response
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16H02692
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山下 喜久 九州大学, 歯学研究院, 教授 (20192403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ファガラサン シドニア 国立研究開発法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, チームリーダー (00391970)
二宮 利治 九州大学, 医学研究院, 教授 (30571765)
竹下 徹 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (50546471)
高田 英俊 九州大学, 医学研究院, 教授 (70294931)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 口腔マイクロバイオーム / 粘膜免疫 / 分泌型IgA |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は分泌型IgAの機能に着目し、IgAの付着の有無で菌群を分別し、次世代シークエンサーでそれぞれの細菌構成を解析する手法を用いて、IgAが口腔マイクロバイオームの制御に及ぼす影響について以下の通り検討を行った。 【研究1】26歳から61歳の健康な男女13人から唾液を採取し、唾液検体に含まれる口腔細菌を蛍光標識した抗IgA抗体によって標識し、セルソーターでIgA結合細菌 (IgA+細菌) とIgA非結合細菌 (IgA-細菌) に分離した。分離した細菌からDNAを抽出し、プライマー8F、同338Rを用いて16S rRNAの V1-V2領域の遺伝子を網羅的に増幅した。増幅断片の塩基配列をIon PGMを用いて解読し、IgA+細菌とIgA-細菌を同定した。各検体のIgA+細菌の割合は84.3±2.9%であり、ほとんどの細菌にIgAが結合していることが明らかとなった。一方で、IgA結合指数で主要な細菌種のIgA結合度を比較したところ、Fusobacterium periodonticumやLautropia mirabilisのIgA結合指数は有意に低く、ほとんどの対象者でIgAが結合していなかった。また、Veillonella atypicaは対象者によってIgA結合指数に個体差が認められた。この結果から、口腔マイクロバイオームに対するIgAの結合パターンが明らかとなった。 【研究2】粘膜免疫能に異常のあるIgA欠損患者7名と粘膜免疫能が正常な健康成人10名の唾液を採取して、それぞれのIgA+細菌とIgA-細菌の細菌構成を調べた。その結果、IgA欠損患者から採取した唾液中にはIgA+細菌は認められなかったことから、本研究で用いているIgA-Seq法でIgA結合細菌を適切に把握できていることが確認できた。また、IgA欠損患者では健康成人と比較して細菌種の多様性が減少していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において最も重要なIgA-Seq法については、研究分担者であるシドニア・ファガルサン先生の指導により順調に確立できており、教室員について行った予備実験の結果でも、安定した結果が得られている。また、IgA欠損患者について、IgA-Seq法を行ったところ、IgA結合細菌がほとんど認められなかったことから、セルソーターでの分離には2次抗体による非特的結合が働いていないことも確認できており、今後の研究を順調に進めていく準備は万端である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に、上記の通りIgA-Seq法が確立できているので、今後は久山町研究対象者から過去に得られている凍結サンプルについて、IgA-Seq法が有効に使えるのかを確認し、有効であれば、IgA欠損患者のコントロールとして久山住民のデータを用いることとする。一方で、凍結サンプルではIgA-Seq法が有効に使えない場合には、コントロール群を改めて設定する必要があるため、適切なコントロール群の設定を計画する。
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Research Products
(17 results)