2018 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation, Diagnostics and Evaluation of Irrigiation System in India
Project/Area Number |
16H02763
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 章 京都大学, 農学研究科, 教授 (80157742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 泰一 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携教授 (10111981)
西村 伸一 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (30198501)
藤澤 和謙 京都大学, 農学研究科, 准教授 (30510218)
濱 武英 熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 准教授 (30512008)
藤原 正幸 京都大学, 農学研究科, 教授 (40253322)
渡邉 紹裕 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (50175105)
福元 豊 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (60757350)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 溜池 / 灌漑システム / 機能診断 / 地域水循環 / 気象観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
現地サウンディング調査を継続して実施した。インドのカルナータカ州に位置するバンガロール(Bangalore)周辺にて、2つの貯水池を選定し、貯水堤体の強度分布を調査するため、スウェーデン式サウンディング試験及び簡易動的コーン貫入試験を実施した。調査の実施は2018年12月17~20日に行った。その結果からは、日本のため池堤体と比較すると、高強度のかなり固い堤体表面となっているものの、内部には、低強度の柔らかい土層が存在する特徴があることが判明した。また、詳細な取得データの統計解析により、強度の相関距離の算定等を行った。 Bangalore近郊Tumkurの2つの貯水池で、堤体の内部診断を目的としてスウェーデン式サウンディング試験(SWS)と簡易動的コーン貫入試験(DCP)を実施した。前者は効率的な静的サウンディング法であり、後者は比較的強固な地盤においても適用可能なサウンディング法である。対象としたインドの貯水池の堤防は大変強固であり、SWSのみでは貫入不能であったため、DCPとの混合使用法を提案した。試験結果である地盤の剛性を地質統計学手法によって内挿補間した。 インド・アッサム地方の茶園における水及び窒素循環を明らかとする目的で、対象とする茶園に気象観測機器を設置し、2017年8月より気象データを収集するとともに、2018年3月より地下水位観測のために浅井戸と深井戸に水位計を設置して観測を続けている。観測データは、インド工科大学グワハチ校(IITG)土木学科教員の協力により、日本で確認できるようになっている。さらに、2018年10月より土壌水分計を砂質土と粘質土の土壌に設置して、連続観測を続けている。 インド亜大陸の日雨量記録について、英領インド時代の1890年代から最近の2010年代までのデータ集の構築を進め、インド北東部のアッサム州、メガラヤ州の気象観測を維持した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インドの灌漑施設(溜池)の機能診断においては、当初の研究計画通り、30年度まで現地調査を進め、日本とは異なるインド特有の堤体の強度分布を把握した。当該年度は、インド理科大学院(Indian Institute of Science)のBabu教授のサポートを得て、スムーズに現地調査を実施できた。これまでは、インド北東部アッサム州のグワハティ周辺において現地調査を行ってきたが、今年度は気候の異なるカルナータカ州のバンガロール周辺において溜池堤体の調査ができたことは意義のあるものなった。 現地におけるサウンディング試験は、試験数が不十分なサイトもあるが、ほぼ予定通り試験を実施することができた。 計画通り、2017年度に設置した気象観測装置および深井戸の地下水位計は特に問題なく観測が続けているが、浅井戸に設置した水位計は行方不明になっていた。4か所に設置した土壌水分計はほぼ順調に観測できている。また、茶園における水・窒素循環モデルの構築に取り組み始め、鉛直1次元モデルの原型を完成させるとともに、現地の土壌を用いた透水性試験を行い、モデルに必要なパラメータを同定した。さらに、2018年8月、IITG教員を京都大学に招いて、本プロジェクトに関するセミナーを実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は本研究課題の最終年度であり、各項目について研究のまとめを前提として、以下のような推進方策を策定する。 溜池堤体の機能診断については、2019年度はこれまでのデータの再整理を行い、インド特有の堤体状況を考慮したアセットマネジメントの提言を行う。現在、データの再整理を行う中で、追加調査が望ましい箇所があり、その実施も検討し、最終的な研究成果のとりまとめを行う。 2019年度は、2018年度に不十分であったサイトの追加試験を行う。さらに、これまでに計測した結果を用い、貯水池堤体の安定性評価を行う。 また、気象観測装置と地下水位計により、水文データの蓄積を引き続き進めるとともに、水質および土壌データについても充実させる。浅井戸にあらためて地下水位計を設置する。水質については、灌漑時の表流水のみでなく、地下水の水質についても十分な調査を行う。また、土壌分析も引き続き行い、茶園のデータを充実させる。並行して、水・窒素移動シミュレーションモデルの2次元化に取り組むととも、同定されたパラメータを用いた計算を行う。さらに、茶の生育・灌漑モデルの検討および気候変動への適応策について検討する。 さらに、インド亜大陸の日雨量記録に関する英領インド時代の1890年代から最近の2010年代までのデータ集を基にして、インドモンスーンの開始と終了辞意の変化について調査するほか、インド亜大陸の降雨の年々変動、季節変動、季節内変動の経年変化について、多様な時間スケールの現象について解析を進める。
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Research Products
(60 results)