2019 Fiscal Year Annual Research Report
プロセスベースのマルチモーダル概念理論の構築と実証についての分野横断的研究
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16H02835
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松香 敏彦 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (30466693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粟津 俊二 実践女子大学, 人間社会学部, 教授 (00342684)
鈴木 宏昭 青山学院大学, 教育人間科学部, 教授 (50192620)
中村 友昭 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (50723623)
寺井 あすか 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (70422540)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 認知科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
行動実験:①マルチモーダルに形成される概念表象が、自分の行為、そしてそれが向けられる世界とどのような関係にあるかを探った。そのためには、表象のプロジェクション=投射という考え方に付いて議論しそれらの展開を論文や学会発表として行なった。また、概念をどのように適用されるのかを、「類似」を鍵してその妥当性を検証した。②推論において十分な知識が保持していない場合、人間は主観的で低い粒度の情報をもとに動的にカテゴリーを形成し、そのカテゴリーをもとに推論を行う傾向があり、また、その推論には高い適応度があることが示された。
脳科学系実験:同一の刺激に対する異なるモダリティーに関しての回答を求める課題をfMRI実験で検証した。その結果、様々なカテゴリーは中心的なシンボリックと解釈できる表象があるのと同時に異なるモダリティーに分散された表象があることが示唆された。
計算モデル・ロボティクス:①人間の記憶は不完全性を認知モデルに適応した場合にどのような振る舞いを導くのか検討した。その結果、記憶が不完全である場合は、効率的な選択的注意の分配が行われ、また多くの事例を同等に扱うことがわかった。また、特殊事例に関して正しい知識を得ることができるが、それらの特殊事例への反応は抑制されることが示された。②動的なカテゴリー生成や利用の例としてメタファー 隠喩やユーモアが挙げられるが、それらの生成メカニズムを、計算モデルを用いて検討した。③ 音声や行為のセグメンテーションし何を持って1つの単位とするのかはカテゴリーの形成に非常に重要な処理である。そのメカニズムを正解のラベルのない教師なし学習で行う計算モデルを構築しその妥当性を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年ども、行動実験、データベース分析、脳科学系実験、ロボティックス・計算機シミュレーションといった多角的なアプローチで研究課題を扱っている点において、おおよそ 当初の目的どおりに研究は進行していると考える。 プロジェクション・サイエンスを基盤にした理論研究、動的カテゴリー化が行われていることを示唆する行動実験、脳内でのカテゴリーの分散表現の可能性を示唆してfMRI実験、動的カテゴリーの生成の基盤、利用、性質を検討した計算機モデル・ロボティクス研究などを行った。ただし、2019年度に計画していたロジェクションと概念の関係を検討する行動実験の実施は計画の段階で実施には至っていない。2020年度にその実験を実施を計画している。その他、課題・刺激などを変えて引き続き、異なる課題を用いた行動実験、fMR実験をおこない、また異なる観点から計算機モデルの構築や統合を行い、最終的に本課題で得られた知見をまとめる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、プロジェクションと概念の関係について、特にcelebrity contagionという現象を取り上げ、ある特異的な性質を持った人物の触れたもの、あるいはそれに隣接するものが、その人物の(概念の) 特性を伝承するか、またその調整要因は何かを検討する。行動実験ではその他に、動的カテゴリーの生成やその適応性を検討する実験を発展させる。2019年度に実施したfMRI実験の結果をもとに発展させ、異なる課題・刺激を用いてカテゴリーの分散表現と集中表現の両立の再確認しそれぞれの役割に付いて検討する。ロボット・計算機モデル関係では、2019年度に開発した教師なしセグメンテーションモデル用いて概念形成モデルを組み合わせ,人間の行動や知識と比較しその妥当性を検証する。さらに、動的カテゴリーの一例であるアドホックカテゴリーの生成モデルを強化学習によるプライングを基盤とし構築する予定である。最後にこれまで得られた知見をまとめ、動的カテゴリーを総合的に議論する。
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Research Products
(35 results)