2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H02836
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 壽一 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30172894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 由葵子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (90600700)
明地 洋典 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (50723368)
東條 吉邦 茨城大学, 教育学部, 特任教授 (00132720)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自閉症 / 心 / 道徳性 / 認知科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症者はマインドブラインドネスと形容されることもあり、自他に心の状態を帰属しないことが、自閉症者が抱える社会的困難の原因であるともされている。既存の研究では、心の状態に焦点が当てられ、他者の心的状態の読み取りなどが検討されてきた。そこで、心の存在をどのように捉えているのかについて焦点を当て、自閉症者と非自閉症者を対象に認知科学的な検討を行った。その結果、自閉症群も非自閉症群もかなり似た様式で様々な対象の心を捉えていることが明らかになった。具体的には、両群とも、心の能力を様々な対象に帰属する際、行為に関わる行為者性、感じることに関わる経験性の2つを別々に捉えて帰属していることがわかった。たとえば、ヒト成人は行為者性、経験性ともに高いと捉えられており、ヒト乳児や犬は経験性のみが高い、神やヒト型ロボットは行為者性のみが高い、岩は両方とも低い、と捉えられていた。心の存在をどのように帰属するか、という点においては、自閉症者と非自閉症者とで似通っていることが示唆された。 また、心の捉え方は道徳判断とも密接な関わりがあることが確認された。自閉症群においても、非自閉症群においても、行為者性が高いと判断された物(例.ヒト成人、神)が他者に危害を及ぼした場合には責任を求め、経験性が高いと判断された物(例.ヒト乳児、犬)に対しては配慮の感覚を示すことが明らかになった。生物、無生物の心に応じた道徳感覚はヒト社会を形作る上で重要な要素の1つである。今回得られた結果は、自閉症者もそのような感覚を持ち合わせていることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に問題は起こらず、予定通りに計画が進行中であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
自閉症者、定型発達者における心に基づいた道徳性について検討を行う。
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Research Products
(5 results)