2018 Fiscal Year Annual Research Report
Mind perception and morality: the case of autism
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16H02836
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 壽一 東京大学, 大学院総合文化研究科, 名誉教授 (30172894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 由葵子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (90600700)
明地 洋典 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (50723368)
東條 吉邦 茨城大学, 教育学部, 特任教授 (00132720)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自閉症 / 心 / 道徳性 / 認知科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症者が直面する社会的困難は、他者の心の状態、特に信念の読み取り方が定型発達者と異なることが原因であるという仮説が存在する。行為者の信念についての情報は行為に関する道徳判断にも大きな影響を及ぼす。前回は、自閉症者と定型発達者を対象に、意図的害(意図あり、結果あり)、害未遂(意図あり、結果なし)、事故的害(意図なし、結果あり)、意図的破壊(意図あり、結果はあるが苦痛なし)の4種類の行為に対して許せないと感じる度合いを評価してもらった。その結果、害未遂については、自閉症群より定型発達群の方が許せないと評価し、事故的害と意図的破壊については、自閉症群の方が定型発達群よりも許せないと評価しやすい傾向が見られた。これらは、今回の結果でも追認された。今回は許せない度合いに加えて、行為者の信念―起こると思っていた被害―と実際の被害の大きさについても評価してもらった。その結果、自閉症群は定型発達群に比べて、行為者が起こると思っていた被害について、害未遂のときに小さく評価し、意図的害のときには大きく評価していた。また、実際に起こった被害の大きさについての評価には大きな群間差は見られなかった。さらに、道徳判断(許されなさの評価)の予測変数として行為者の信念と実際の被害を用いた分析から、道徳判断を行う際、自閉症群は定型発達群に比べて行為者の意図に関する情報を用いる傾向が小さいこと、また、実際の被害の大きさに関する情報を用いる傾向が大きいことが示唆された。前回と今回の結果から、自閉症者は定型発達者に比べて道徳判断の際に行為者の意図を重視せず、起こった被害を重視することが示されたが、この要因として、行為者の意図に関する評価自体が異なること、また、道徳判断を行う際に意図に関する情報の重みづけが低く、被害に関する情報の重みづけが大きい可能性が示唆された。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(10 results)