2017 Fiscal Year Annual Research Report
人工林における保残伐の費用便益分析：大規模実証実験と熟議型貨幣評価の結果から
| Project/Area Number |
16H03004
|
|---|
| Research Institution | Hokkaido University |
|---|
Principal Investigator |
庄子 康 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (60399988)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 理 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 環境・地質研究本部環境科学研究センター, 主査 (20557285)
山浦 悠一 国立研究開発法人森林研究・整備機構, その他部局等, 主任研究員 等 (20580947)
栗山 浩一 京都大学, 農学研究科, 教授 (50261334)
柘植 隆宏 甲南大学, 経済学部, 教授 (70363778)
久保 雄広 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 研究員 (80761064)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
| Keywords | 保残伐 / 大規模実証実験 / 熟議型貨幣評価 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、保残伐の大規模実証実験を対象として、保残伐が経済的に妥当なのか費用と便益から検証を行う費用便益分析の枠組みを構築することである。本研究では三つの課題を設定しており、それぞれ以下の研究を実施した。
【課題①】昨年度に引き続き、保残伐による逸失利益と掛かり増しになる施業コストの把握を行うため、研究対象地となる北海道芦別市の北海道有林において現地調査を行うとともに、関係者に対する聞き取り調査を実施した。これは、人工林の条件（樹種や地形、路網）や保残条件（保残率や保残形態）によって費用や便益がどのように変化するのかを把握するために必要となるものである。
【課題②】昨年度、保残によって増加する生態系サービスの便益評価を行うため、環境経済評価の一手法である選択型実験（部分プロファイル型選択型実験）を適用した。それらの結果を分析し、想定される生態系サービスごとの価値を貨幣的に評価することができた。これらの分析結果については、投稿論文として取りまとめ、学会誌に投稿している。また上記の結果を踏まえて、熟議型貨幣評価の本調査を実施した。熟議型貨幣評価の本調査では、グループミーティングによる調査に加えて、ベスト・ワースト・スケーリングによる評価（アンケート調査）も実施した。
【課題③】昨年度に引き続き、情報の地図化と保残伐の導入条件解明の枠組み構築を行うため、基盤データの準備およびデータの統合に向けたシステム構築を行った。課題②ではすでに成果が得られているため、その結果も使いながら、本格的な分析に向けた試行を行った。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【課題①】保残伐による逸失利益と掛かり増しになる施業コストの把握については、本研究で明らかにする部分と、他の研究プロジェクトで明らかにされる部分があるが、どちらも概ね順調に情報を把握しているため。
【課題②】昨年度に聴取した、選択型実験（部分プロファイル型選択型実験）の結果を分析し、妥当な結果が得られ、すぐに論文として整理することができた。また上記の結果を踏まえて、熟議型貨幣評価の本調査を計画通り実施できたため。
【課題③】情報の地図化と保残伐の導入条件解明の枠組みの構築に関する実際の作業は、課題②の結果が得られたことで、試行を行うことができるようになったため。
|
| Strategy for Future Research Activity |
【課題①】保残伐による逸失利益と掛かり増しになる施業コストの把握を完了し、課題③に使える情報を提供する。
【課題②】熟議型貨幣評価の本調査を計画通り実施できたため、得られた結果のコーディングを行い、その解釈についても作業を進める。熟議型貨幣評価において同時に聴取した、ベスト・ワースト・スケーリングによる評価結果なども踏まえながら、課題③に使える情報を提供する。同時に本課題で明らかになった研究結果は論文として取りまとめて発表する。
【課題③】課題①と課題②から得られた結果を用いて、GIS上でデータの統合を試みる。
|
Research Products
(8 results)
