2018 Fiscal Year Annual Research Report
地域の気候と災害の特性に適応した伝統民家・集落の熱環境デザイン手法
Project/Area Number |
16H03013
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
橋本 剛 筑波大学, 芸術系, 准教授 (70400661)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 仁 名城大学, 理工学部, 准教授 (70321479)
渡邊 慎一 大同大学, 工学部, 教授 (00340175)
佐藤 布武 名城大学, 理工学部, 助教 (60785525)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 環境デザイン / 伝統的な民家・集落 / 気候 / 災害 / 建築環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、地域特性や民家・集落特性の異なる9地域を調査対象地域として選定している。平成30年度は、当初の年次計画に従い、茨城県南地域において第3次本調査を、山形県最上地域および鹿児島県奄美地域において第2次本調査を、福島県会津若松地域および長崎県対馬地域において第1次本調査を、岐阜県飛騨北部地域および大分県南地域において概観調査を実施した。 茨城県南地域では、水害常襲地域である利根川および小貝川沿岸地域を調査対象地域として選定し、伝統民家の水防対策に関する現況調査を実施した。水屋・水塚の現存・消失状況を把握した結果、治水事業の進展や都市化の影響を受け、地域固有の伝統的な防災デザイン手法が消失傾向にあることが明らかになった。 山形県最上地域については、薪ストーブを使用している住宅を対象として行った室内温熱環境の実測調査の結果を分析した。その結果、薪ストーブ使用時に形成される室内温熱環境について平均気温、気温変動幅、上下温度分布といった基本的な特性を明らかにし、森林資源の調達が比較的容易である農山村地域において薪ストーブが冬季の暖房手段として有効であることを示した。鹿児島県奄美地域については、夏季の温熱環境および紫外線環境に関する分析を行った。その結果、大木の緑陰では熱ストレスが大きく緩和されることが明らかになり、加計呂麻島における大木の配置に関する現地調査を行った。 福島県会津若松地域では、屋敷森と水路を有する伝統的な集落を調査対象地域として選定し、夏季における小気候調査等を行った。長崎県対馬地域では、群倉が形成されている伝統的な集落を調査対象地域として選定し、冬季における小気候観測調査等を行った。 岐阜県飛騨北部地域および大分県南地域では、調査対象の選定を行った。 関連地域として山形県飯豊町に形成される散居村に着目し、伝統民家等に関する現地調査を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の年次計画通り、調査対象とする9地域の内、茨城県南地域において第3次本調査を、山形県最上地域および鹿児島県奄美地域の2地域において第2次本調査を、福島県会津若松地域および長崎県対馬地域の2地域において第1次本調査を、岐阜県飛騨北部地域および大分県南地域の2地域において概観調査を実施することができた。 茨城県南地域における研究成果の一部については、日本生気象学会雑誌において査読付き論文として掲載された。 茨城県南地域、宮城県牡鹿半島地域、山形県最上地域、長崎県対馬地域および鹿児島県奄美地域の5地域における研究成果の一部については、第57回日本生気象学会大会および第42回人間-生活環境系シンポジウムにおいて発表した。 また、概観調査を実施した岐阜県飛騨北部地域および大分県南地域の2地域では、具体的な調査対象の確認・選定を行うことができ、次年度以降の研究推進環境を整備することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度においては、当初の年次計画に従い、各地域における第4次本調査、第2次本調査および第1次本調査を実施する予定である。具体的には、茨城県南地域において第4次本調査を実施する予定である。福島県会津若松地域および長崎県対馬地域において第2次本調査を実施する予定である。そして、岐阜県飛騨北部地域および大分県南部地域において第1次本調査を実施する予定である。 宮城県牡鹿半島地域、山形県最上地域、福島県阿武隈地域および鹿児島県奄美地域に関しては本調査を遂行したが、研究成果の取りまとめにあたり必要に応じて追加調査を行う予定である。 なお、自然災害や天候不順等の不測の事態が発生した場合には、柔軟に計画を修正・変更するとともに、必要に応じて調査対象地域を適宜追加する。
|
Research Products
(8 results)