2019 Fiscal Year Annual Research Report
微小断層変位地形および山体重力変形地形による活断層の連動史の解明
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16H03112
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
金田 平太郎 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (30415658)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 変動地形 / 活断層 / 山体重力変形 / 連動破壊 / 航空レーザー測量 |
Outline of Annual Research Achievements |
根尾谷断層北端部近傍,若丸山における重力性凹地群のピット・コアリング調査結果と根尾谷断層温見白谷上流地点におけるトレンチ調査結果の比較・検討を行い,根尾谷断層の活動に伴って若丸山の山体重力変形が間欠的に進行してきた可能性が高いことを明らかにした.この結果は論文としてまとめ,現在,国際誌(Geomorphology)に投稿中である. また,本研究オリジナルの数値標高モデル可視化手法であるMPI赤色立体地図ステレオペアについての発表を2つの国際学会(アメリカ地震学会2019年大会@シアトルおよび国際第四紀学連合2019年大会@ダブリン)で行った. 一方,今年度の新たな調査として,根尾谷断層中部近傍,魚金山(ようきんざん)南方稜線上の重力性凹地(湿地)において,可搬型パーカッションコアリングシステムを用いたコアリング調査を実施し,同凹地の堆積中心において凹地埋積堆積物の基底まで達するコア(深度約8 m)の採取に成功した.また,同コアのテフラ分析を実施した結果,この重力性凹地の形成年代が少なくともATテフラ降灰(30 ka)以前に遡ることが判明した.これまで越美山地で報告されている山体重力変形の開始時期は,本研究で調査を実施した若丸山も含めていずれも完新世に入ってからであり,魚金山ではより長期間の地質記録が保存されていることが明らかになった. その他,濃尾断層系との比較のための現地調査およびコアリング調査を富山県立山連峰の室堂山および五色ヶ原周辺で実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
秋季に研究代表者が別プロジェクトの南極調査に参加した影響で当初今年度に計画していた温見断層におけるトレンチ調査が実施できなかったため.ただし,昨年度まではほぼ当初計画通りに活断層活動履歴調査および山体重力変形履歴調査が進行して成果が得られており,今年度も山体重力変形地形調査については予定通りに実施できている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(最終年度)は,これまで調査の補足調査・補足分析を実施しつつ,研究結果の総合検討および取りまとめを行う.今年度実施できなかった温見断層のトレンチ調査については,予算不足のため本研究課題での実施は難しいが,別プロジェクトで同断層のトレンチ調査を実施できる予定のため,その結果も併せて総合検討を行う予定である.
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Research Products
(8 results)