2017 Fiscal Year Annual Research Report
Progerss of on-site detection technology based on atmospheric pressure ionization analysis against chemical warfare agents and illicit drugs
Project/Area Number |
16H03140
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
瀬戸 康雄 科学警察研究所, 総務部, 副所長 (10154668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 博之 科学警察研究所, 法科学第三部, 部長 (40159992)
柘 浩一郎 科学警察研究所, 法科学第三部, 室長 (90356204)
大塚 麻衣 科学警察研究所, 法科学第三部, 研究員 (90801580)
瀬川 尋貴 科学警察研究所, 法科学第三部, 研究員 (80778978)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大気圧イオン化 / イオンモビリティースペクトロメトリー / 質量分析 / 化学兵器用剤 / 違法薬物 / 現場検知 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学剤として、エチルサリン、サリン、n-プロピルサリン(新たに製造)、i-ブチルサリン、ソマン、タブン、シクロヘキシルサリン、VX、RVX、マスタードガス(HD)、ルイサイト1(L1)、窒素マスタード(HN)1、2、3、シアン化水素(AC)、塩化シアン、ホスゲン、塩素(CL)、クロルピクリンを用い、化学剤蒸気を直接、または専用のスワブに塗布して急速加熱して、3種類の装置であるSmiths Detection製MMTDイオンモビリティースペクトロメトリー(IMS)装置(63Niイオン化、ドーパントなし)、IonScan 550T(63Niイオン化、ドーパントあり)、IonScan 600(コロナ放電イオン化、ドーパントあり)に導入して、イオンモビリティースペクトルを測定した。装置に応じて、化学剤のダイマー、モノマーのドーパントアダクト、モノマー、分解物と思慮される正イオンが観察された。HD、L1、血液剤、CLからは、分子関連と思慮される負イオンが、その他からは塩素イオンが観察された。理研計器(株)試作のIMS装置(コロナ放電イオン化、ドーパントなし)に関して、神経ガスからは濃度に応じて分解物、モノマー、ダイマー由来の正イオンが観察され、びらん剤からは分解物、モノマー由来の負イオンまたはモノマー由来の正イオンが観察された。ガス性化学剤からは、複数の反応物イオンピーク(RIP)群に近接する位置に特有の負イオンが観察されたが、各々の識別は難しかった。一方、理研計器(株)試作のIMS装置にコロナ放電イオン化に代わり、シャープ(株)(平成29年度より共同研究開始)製の大気中電子放出素子(原理:トンネル電子)を装着しIMS測定をしたところ、RIP としてKo値-2.23に1本のピークを与え、ガス性化学剤、HD、L1、HNからはRIPとは明確に異なる位置に負イオンピークが観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者の瀬戸康雄は、平成29年3月末より平成30年3月31日まで科学警察研究所の副所長の任についたことにより、所長を補佐した研究所業務全般の指示、兼務の法科学研修所長としての研修運営全般の指示など、行政的な業務が多忙となった。よって、研究へのエフォートが低下し、計画していた研究の遂行に大きな遅れを来した。
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Strategy for Future Research Activity |
逆流型大気圧化学イオン化イオントラップ質量分析に関しては、違法薬物(メタンフェタミン、アンフェタミン、MDA、MDMA、コカイン、o、m、p-メトキシメタンフェタミン、o、m、p-ブロモメタンフェタミン、トリアゾラム、JWH-018、α-PVPなど)を測定して、出現イオンおよび強度のデータをまとめる。化学剤データと併せて、構造活性相関的にイオン化に関して考察する。IMS装置のIonScan 550T、IonScan 600に関して、薬物、化学剤全般を測定して、データをまとめ、構造活性相関的にイオン化効率、イオン移動度に関して考察する。大気中電子放出素子を装着したIMS装置について、ガス性化学剤、HD、L1、HNに対する分析データを集積し、これまでのコロナ放電やβ放射性線源イオン化と比較して現場検知有効性を検討する。加えて、TOF-WERK製の飛行時間型質量分析計に接続して、生成する負イオンの分子帰属を実施し、大気中電子放出素子の有効性を確認する。
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Research Products
(2 results)