2017 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment for paleosequake and tsunami scale estimtion method by using integrated earthquake and tsunami record information
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16H03146
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
今井 健太郎 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地震津波海域観測研究開発センター, 技術研究員 (20554497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
都司 嘉宣 公益財団法人深田地質研究所, 研究部, 客員研究員 (30183479)
菅原 大助 ふじのくに地球環境史ミュージアム, 学芸課, 准教授 (50436078)
岡田 真介 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (50626182)
高橋 成実 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地震津波海域観測研究開発センター, グループリーダー (70359131)
蝦名 裕一 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (70585869)
前田 拓人 東京大学, 地震研究所, 助教 (90435579)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 歴史津波 / 地震津波履歴情報 / 震・波源推定 / 1804年象潟地震 / 地形復元 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では,①過去の海岸線を復元する手法の開発,②海岸線変化の影響が津波氾濫解析に及ぼす影響評価,③1804年象潟地震を対象として,新たな歴史資料に基づく地震動被害や津波被害やその広域分布について検討を行い,断層モデルの推定を行った. 海岸線の復元手法について,岩手県沿岸部を対象として検討を行った.当該地域において歴史地形を描いた主な絵図・地図史料を収集し,作成された時代背景とその特徴をまとめた.人工改変による影響は明治期以降に活発となるため,近代測量技術に基づく陸軍測量部作成図や大日本沿海輿地全図(伊能大図)を基礎として,復元したい時代に合わせて史料絵図を利活用する必要がある.当該地域の復元地形に基づく津波氾濫解析から,閉伊川河口部の人工改変の影響により宮古湾の湾奥では復元地形の方が津波高は高まることが明らかとなった. 秋田県象潟町関村において史料調査を行い,貴重な史料の保存を行うとともに,本地震に関する新史料を得ることができた.これらに基づいて,地震の被害や津波の浸水高の評価を行った.具体的には,絵図と地形学に基づいた地形復元の景観復元,記述に基づいた建物被害の分布と津波に関する記述から,当該地域の津波浸水高の上限を規定することが可能となった.さらに,これまでに発行されてきた歴史地震資料に基づいて,本地震による広域地震動被害分布を史料に基づき評価した.地殻変動量は旧湖岸・汀線における陸海境界の標高値についてVRS-RTK測量を行うことで推定した.これらの各種地震津波履歴情報(地殻変動,旧汀線・旧湖岸線と津波痕跡高)を統合利用して,断層モデルの構築を試みた.観測値とモデル値の誤差が最小となる断層モデルを焼き鈍し法を適用して求めた.本解析による推定断層モデルの平均すべり量は7.3 m,その規模はMw7.1となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
秋田県象潟町関村において,未だ翻刻されていない史料も含めて収集・集約活動を行い,地震・津波に関する被害状況を明らかにすることができた.また,地殻変動についても現地調査を実施し,観測誤差を含めて評価を行った.また,歴史時代の海岸地形復元手法についても実地形で行い,津波氾濫解析への影響評価を行った. 以上のように,地震津波履歴情報の取得及びその方法に関する検討は順調な進捗といえる.なお,津波堆積物の利活用方法に関する検討の基礎データとして龍神池において掘削調査と音波探査調査を行い,津波堆積物分布状況の把握と龍神池の水深分布調査を実施した. 津波履歴情報の統合利用による震・波源規模評価に関する検討については,地震津波履歴情報を統合利用して断層モデルを評価するために焼き鈍し法に基づく解析アルゴリズムを構築した. 以上から,本年度に実施予定の検討事項については,おおむね実施することができたため,順調な進捗といえる.
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Strategy for Future Research Activity |
1804年象潟地震について海域活断層情報の収集と精査を行い,断層面の妥当性について検討を行う(高橋,今井).史料に基づいた地震被害分布と本研究で評価した断層モデルを初期条件して東日本を対象とした大規模地震動シミュレーションを実施することで,観測と計算の比較から提案した断層モデルの妥当性を検証する.さらに,地震被害分布に基づく震源モデル推定手法に関する基礎検討を実施する(前田,都司). 津波堆積物の利活用方法について,南海トラフ巨大地震(1707年宝永地震,1854年安政南海地震)における大分県龍神池の津波堆積物を検証対象として,津波外力と津波堆積物分布の関係について,数値実験に基づいて検討を行う(菅原,岡田,今井). 江戸期における津波被害関数を利用した津波高評価手法について,江戸期に発生した巨大地震の事例(例えば,1854年安政東海地震)を利用して高度化を行う.具体的には,史料に記述がある被害程度(例えば,流失,全潰,半潰など)を網羅可能な被害関数の構築を行う(行谷,今井,蝦名). 研究の進捗状況については,随時進捗状況を共有するとともに,全体会議を実施する.研究計画と研究進捗状況を照らし合わせながら,課題解決に向けて柔軟に対応する.
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Research Products
(7 results)