2017 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism and treatment of hyperalgesia originating in the muscle fascia
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16H03202
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
田口 徹 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (90464156)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 筋膜 / 痛み / 筋・筋膜性疼痛 / 侵害受容 / 理学療法 / 線維筋痛症 / ストレッチ / 筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
遅発性筋痛(運動後の筋肉痛)や線維筋痛症、肩こり・腰痛に至るまで、筋や筋膜に由来する痛みは身近であり罹患者が多いにも拘わらず、そのメカニズムの解明は不十分であり、適切な治療・予防の実現には至っていない。このような筋・筋膜に起因する痛みは患者、高齢者、アスリートの日常生活や競技パフォーマンスに悪影響を及ぼすのみならず、超高齢化ストレス社会といわれる現代において甚大な医療経済的負担を余儀なくし、早急に解決が必要な課題となっている。本年度は線維筋痛症の動物モデルを用い、脊髄後角表層ニューロンの細胞外記録やin vivoパッチクランプ記録を行い、痛覚過敏に関わる脊髄機構の解明を試みた。その結果、モデル動物の後角表層ニューロンの自発放電が増加し、機械刺激感受性が顕著に増大することがわかった。また、ニューロンへの興奮性入力が増加する一方、抑制性入力の顕著な減少が観察され、病態機構の一端をシナプスレベルで明らかにすることができた。また、筋・筋膜性疼痛の末梢神経機構を解明するため、ラット腓腹筋を支配する腓腹筋神経から単一神経記録を行い、非活動性C線維侵害受容器の同定に成功した。また、これらの受容器の一部が炎症物質の混合カクテルの投与によって活性化する現象を捉えることができた。さらに、遅発性筋痛や線維筋痛症など種々の痛覚過敏モデル動物を用い、痛覚感作物質である神経栄養因子(NGFやGDNFおよびそのファミリー)の発現変化を筋膜組織にて解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は所属機関を異動したことにより実験セットアップに時間が取られたことと、病気療養のため入院を余儀なくされたことにより、大幅な制約はあったものの、論文化を視野に入れた新しい知見も得られており、結果としておおむね順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度(H29年度)までに種々の筋・筋膜性疼痛モデルを用い、その病態機構の一端が明らかになりつつある。来年度(最終年度)はこれらの現状を踏まえ、引き続きそのメカニズム解明に邁進するとともに、当初の予定通り、各種理学療法の疼痛治療効果の有無を明らかにし、その鎮痛機序の一端を解明していく予定である。
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Research Products
(30 results)