2018 Fiscal Year Annual Research Report
軟部組織の粘弾性特性を考慮した次世代筋骨格系シミュレーション基盤の構築
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16H03238
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
長野 明紀 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (30392054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 俊之 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 准教授 (10454076)
藤本 雅大 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 人間情報研究部門, 主任研究員 (10732919)
大塚 光雄 立命館大学, スポーツ健康科学部, 助教 (20611312)
伊坂 忠夫 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (30247811)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 順動力学 / スポーツ科学 / オープンソース |
Outline of Annual Research Achievements |
身体運動のメカニズムを理解するための手段として動力学シミュレーションの技術が頻繁に用いられる。本研究では衝撃力の作用する動作に対応可能な、軟部組織の貢献を考慮した筋骨格系シミュレーションの基盤を構築する事を目指し、平成30年度は下記の成果を挙げた。 ・ヒト全身の筋骨格系シミュレーションモデルを構築した。身体のリンク系の運動方程式を構築し、これに筋腱複合体のモデル及び地面反力のモデルを組み込んでシミュレーションモデルを作成した。またこれを用いて跳躍動作の研究を実施した。従来、筋骨格系のモーメントアーム(てこの長さに相当)が或る程度の範囲内で長い場合に、全体としての力学的出力が大きくなる事が知られている。また、モーメントアームが長すぎると力学的出力が低下することが知られている。ただしこれらの現象はダイナミックな状況では検証されていなかった。本研究では最もダイナミックな運動の一つである跳躍動作においてモーメントアーム長をシステマティックに変動させ、それが跳躍高に及ぼす影響を評価した。その結果、先行研究で得られてきた知見と合致する結果を得ることが出来た。 ・体幹部の自由度を必要十分に考慮した筋骨格系シミュレーションモデルを構築した。またこれを用いたダイナミックな動作のシミュレーションを実施した。これまで、体幹部についてはどの様な手法でモデリングをするのが最適であるか、十分な議論がされて来ていない。そのため大まかに1つまたは2つのセグメントを用いて体幹部をモデリングしているケースが多々見られる。本研究ではこの問題に着目し、体幹部を最適にモデル化する方法論を提案した。体幹部を複数のリンクでモデル化し、そのリンク数を変更した際のモデル化誤差を評価した。赤池の情報量基準に基づいて体幹部を最適に表現するモデルを選択することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的の一つであったシミュレーションモデルの構築をほぼ完了させた。成果は国際誌の学術論文、国際学会のプロシーディング、国内・国際学会の抄録として既に発表している。 平成31年度は被験者を用いた検証実験も行う予定であるが、その予備実験は終了している。本実験のための準備は順調に出来ていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、これまでの3年間を通じて構築してきた筋骨格系シミュレーションモデルを、衝撃力の作用する動作に適用し妥当性を検証する。スポーツ動作を含む幅広い動作に対応できる、軟部組織を考慮したシミュレーションモデルを完成させる。更にこのモデルの汎用性を高めて公開し、多くの研究者が利用できる様にする。 より詳細には、平成31年度はダイナミックな動作課題を用いてシミュレーション結果の妥当性を検証しつつ、モデルとシミュレーションプログラムのブラッシュアップを行い、これを完成させる。具体的には垂直跳び、立幅跳び、ホッピング、歩行、走行、スプリント動作、投球動作、キック動作等の動作を対象とする。 平成31年度中に、複数の被験者について個々人にカスタマイズしたシミュレーションモデルを構築する。モデル構築に際してはMRI及び超音波画像診断装置を用いて形態データを取得し、個人にカスタマイズした、軟部組織を考慮したシミュレーションモデルを構築する。モデルの自由度の決定には赤池の情報量基準を利用する。このモデルを用いて、順動力学の手法によって上記のダイナミックな動作をシミュレーションする。シミュレーションで得られた動作パターンは、光学式モーションキャプチャーシステム及びフォースプレートを用いて得た実際の動作データと比較する。解剖学的ランドマークの位置及び関節角度等のキネマティクス、並びに地面反力・関節反力・関節発揮トルク等のキネティクスが、シミュレーションと実際の動作で合致している事を確認する。 モデルが完成した後、汎用性を高めるためにシミュレーションプログラムの整理を行う。可読性の高いプログラムコードを作成し、ライブラリとする。またこのシミュレーションモデル及びプログラムコードに関するドキュメント類を作成・整理する。完成した段階で一般に公開し、多くの研究者がこれを利用できる様にする。
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[Journal Article] Relationship between knee extensor moment arm and long sprint performance in male 400-m sprinters.2018
Author(s)
Tomita, D., Suga, T., Ueno, H., Miyake, Y., Otsuka, M., Terada, M., Nagano, A., Isaka, T.
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Journal Title
Translational Sports Medicine
Volume: 1
Pages: 172-179
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] A pilot study on the importance of forefoot bone length in male 400-m sprinters: is there a key morphological factor for superior long sprint performance?2018
Author(s)
Tomita, D., Suga, T., Tanaka, T., Ueno, H., Miyake, Y., Otsuka, M., Nagano, A., Isaka, T.
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Journal Title
BMC Research Notes
Volume: 11
Pages: 583
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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