2016 Fiscal Year Annual Research Report
American Globalism and Social and Cultural Transformation in the Island Communities
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16H03315
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
喜納 育江 琉球大学, 法文学部, 教授 (20284945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池上 大祐 琉球大学, 法文学部, 准教授 (00633562)
山里 絹子 琉球大学, 法文学部, 講師 (00635576)
石原 昌英 琉球大学, 法文学部, 教授 (70244283)
山城 新 琉球大学, 法文学部, 教授 (80363654)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アメリカ文化 / グローバリゼーション / 米国占領 / 米国統治 / 島嶼地域 / 帝国主義 / 植民地支配 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はそれぞれの研究者がテーマに沿った調査研究を実施した。まず喜納は、本研究課題の総括となる「アメリカ型グローバリズム」に関する先行研究の収集し、グローバリズム、コロニアリズム、インペリアリズムの定義を再確認した上で、アメリカ型グローバリズムの具体的な事例の可能性としてアメリカ合衆国によるハワイ併合について考察すべくハワイ大学において資料情報取集を行った。池上は、グアム大学地域研究センター及び同志社大学アメリカ研究所にて「1960年代グアムにおける南太平洋戦没者慰霊公園設置問題と戦争経験」に関する史料収集を行った。1960年代のグアムにおける南太平洋戦没者慰霊公園建立や、ジョンソン政権期の国家安全保障ファイル(マイクロ史料)におけるグアム関連文書などのアーカイブ調査を行った。山城は、太平洋島嶼地域に関連する文献の収集と解題を中心の研究を実施し、『パナマ・太平洋万国博覧会 -1915サンフランシスコ- PartI』(全7巻) をアティーナプレスより出版した。石原は、琉球列島米国民政府発行のアーカイブ資料を中心に、米国統治下の沖縄における英語教育政策及び統治する側と統治される側の英語観について調査を行うと同時に、グアム大学の研究者と連携して先住民の言語復興と米国の言語政策の関連についても調査した。山里は、ハワイ大学図書館及び論文データベースにアクセスをし、アメリカと島嶼地域における文化的関係に関する先行研究を収集した。また、Asian Studies in Asia Conference にて、国内外の研究者ら3名と共に、冷戦期におけるアメリカと東アジアの文化的関係についての発表を行った。以上の各研究分担者の研究調査実績の他、本年度は筑波大学の竹谷悦子教授及び明治学院大学の石原俊准教授を招聘して、アメリカと島嶼の関係について2回の研究集会を一般公開の形式で実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、アメリカ型グローバリズムを定義する上で重要となる先行研究や関連研究を行っている研究者を招聘した研究会を実施し、アメリカ研究全体における本研究の位置づけについてある程度の理解を得られたという点で、初年度の目標は達成できたと考える。また、それぞれの研究分担者についても、当初の計画通り、予定していたそれぞれが対象となる島嶼地域(ハワイ及びグアム)での現地調査等を実施し、自らの設定したテーマの問題抽出及び究明に取り組むことができている。中にはすでに学会等で成果を発表したり、関連する研究成果を出版したりしている者もいる。ただし、研究計画で予定していた以上の成果をあげている者とまだ問題の焦点化の段階にいる者がいるという点や、「アメリカ型グローバリズム」についてまだ全体の統一見解を得る段階にないという点、そして、この課題に関連する内容で優れた先行研究を発表している研究者を招聘した研究会を公開で実施して有意義な結果は得られたものの、海外の研究者を招聘しての研究会を開催するには至らなかったなどの点に鑑み、研究課題全体としては「おおむね順調に進展」という自己評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の調査や検証の結果を考察しながら、可能な限り、また妥当であると判断される限り、調査対象をアジア・太平洋の島嶼地域に広げ、それぞれの島嶼地域の文化的・社会的変容にアメリカがもたらしたインパクトについて、分担する研究分野の視点から調査を行う。具体的には、喜納はアメリカとハワイ先住民の関係から、他の島嶼地域のダイバーシティマネジメントにおけるアメリカの影響についても調査する予定である。石原は、沖縄における琉球列島米国民政府が発行した『今日の琉球』に掲載された英語政策関連の記事への沖縄側の反応を分析すると同時に、ハワイにおける米国の言語政策、英語教育政策に関する資料を調査し、分析する。山城は、太平洋島嶼地域の中から生起する環境的言説がどのようにアメリカ本土の環境思想・環境運動の動向と関連し、21世紀的グローバルな(太平洋島嶼地域の)環境思想の課題として整理できるかを検討するため、引き続き収集した資料の解題を進める。池上は、1960年代のグアム側の動向を分析するために、グアム議会や立法府関連の資料の収集を行うとともに、日本国内の「南太平洋戦没者慰霊公園建設」に関する史料の収集を行う。山里は、引き続きフィリピンやグアムなどの沖縄以外の太平洋島嶼地域における米国留学制度や留学生の経験や足跡についての資料収集を進めるとともに、沖縄以外の太平洋島嶼地域とアメリカとの関係について、主に教育・文化交流に関する資料収集を続ける。研究代表者、分担者ともに来年度は研究成果を論文として出版できるように準備を進める。 各研究者とも個々のテーマでの研究を進める一方、本研究に関連するテーマで優れた先行研究を発表している研究者を国内のみならず海外からも招聘した研究集会を公開で実施し、本研究の研究分担者以外のアメリカ研究者、島嶼研究者からも本研究課題に関わるフィードバックを得られるようにする。
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Research Products
(6 results)