2018 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアにおけるアグロ資源利用型経済発展に関する理論的・実証的研究
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16H03323
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
小井川 広志 関西大学, 商学部, 教授 (50247615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 百合 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, 理事 (00450453)
河野 元子 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (80552017)
坂田 正三 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, 海外研究員 (90450519)
荒神 衣美 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター東南アジアII研究グループ, 研究員 (40450530)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 東南アジア / アグロ資源利用型産業 / プランテーション / アグロ・バリューチェーン |
Outline of Annual Research Achievements |
東南アジア諸国は、工業化に一定の成功を収めている一方で、パーム油、天然ゴム、コーヒーなど農業関連産品・加工品においても世界有数の生産・輸出大国となっている。本研究はこの特徴に注目し、豊富な農業資源の高度化に成功している東南アジアの経済発展メカニズムを、工業化との関連性から理論的、実証的に明らかにすることを目的としている。本研究の着眼点は、工業化の進展と農業関連産業の発展との間に相互促進作用が働いているのではないかという点である。本研究では、マレーシア、タイ、ベトナム、インドネシアのパーム油、天然ゴム、コーヒーなどを代表とするプランテーション産業に焦点を当て、各国・各産業の発展史、国際価値連鎖における位置付け、産業発展のメカニズムと工業化との相互関係、政府の役割などの検討を通じて農工間相互促進型経済発展モデルの構築を目指すものである。 このような問題意識に基づき、研究プロジェクト3年目では、ベトナムにおける海外調査に重点を置いた。ベトナムのアグロ工業化の特徴は、その生産量の急拡大にある。どのような経済的、社会的背景がこれを可能にするのか、現地調査を元に明らかにした。 現地調査は、10月に実施された。なお、今回の現地調査は、小井川がイギリスにて在外研修中のため、また河野と荒神が個人的な事情により不参加となり、佐藤と坂田の2名で行われた。なお小井川は、個別にマレーシアMPOBにて、パーム油関連の聞き取り調査を行っている。ベトナム調査では、ゴム農園を中心に、川上部門、川中部門のプランテーション、民間企業、国営企業への聞き取り調査を行った。ベトナムにおける天然ゴム利用の現状と可能性、および現時点での課題などを改めて理解、整理することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究プロジェクトは、3年目を終えた時点でおおむね順調に進行している。本研究プロジェクトは現地調査を研究活動の中心としているが、初年度のマレーシア、2年目のタイ、そして3年目のベトナムにおいて、幅広く奥深い知見を得ることができ、それぞれパーム油、天然ゴムなどの産業動態の理解に成功した。アグロ資源利用型産業の発展ポテンシャルには、産業の特性、すなわちヴァリューチェーンの奥行きと幅が大いに関係しており、その程度によって現地経済への発展インパクトが異なってくることも明らかにされた。 アジア政経学会2018年春期大会にて、小井川、河野、坂田がこれまでの研究成果の中間報告を行い、このテーマに関して大きな関心を呼び起こした。他にも、生産財の国産化、内需の規模など、アグロ資源利用型産業の発展を説明するいくつか変数が絞り込まれており、これを、最終年度のインドネシア調査にて確認したい。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査は、初年度のマレーシアを皮切りに、タイ(平成29年度)、ベトナム(平成30年度)、インドネシア(平成31年度)などの東南アジアを代表するアグロ産業大国を順に回り、東南アジアにおけるアグロ資源利用型産業発展の共通項と相違点、課題と展望について、幅広く情報収集を行う。マレーシアではパーム、天然ゴムに関して、タイとベトナムでは主に天然ゴムについて、専門的な知見を得ることができた。 研究4年目には、パーム油、天然ゴム、コーヒーなどの商品作物の分野で世界トップ3にランクインする、アグロ大国インドネシアの現地調査を行う。その調査を含めた本研究の成果を、アジア経済研究所「アジア経済」への投稿を目指す。これに向けて、12月には初稿を持ち寄り相互に意見交換を行って完成度を高める。さらに、その初稿を元に、2020年2月に、バンコクJETROにてシンポジウムの開催を予定している。
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Research Products
(14 results)