2018 Fiscal Year Annual Research Report
日本/朝鮮・中国東北からみた『満洲』の記憶と痕跡~輻輳する民族・階級・ジェンダー
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16H03325
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
金 富子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (40558102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 敏男 東京外国語大学, その他部局等, 名誉教授 (10198161)
倉田 明子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (20636211)
橋本 雄一 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (30305403)
野本 京子 (沼田京子) 東京外国語大学, その他部局等, 名誉教授 (90208281)
澤田 ゆかり 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (50313268)
吉田 ゆり子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (50196888)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 「満洲」 / 中国東北 / 朝鮮人移民 / 日本人移民 / 移動 / 記憶 / 痕跡 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年目をむかえた2018年度は、第2課題「日本人/朝鮮人の「満洲」移民の思想と文化」、第4課題 「ポスト冷戦に想起される「満洲」の記憶と痕跡」に関連して、次の共同研究を行った。 まず、①「満洲」への朝鮮人移民の送出元であった韓国へのフィールドワーク調査と日韓ワークショップを8月に実施した。その事前準備として専門家である孫春日教授(延辺大学)を招いて学内でセミナーを開いた。韓国では聖公会大学東アジア研究所との共催による日韓合同のワークショップ、さらに現地協力者の協力をえて江原道原州市でのフィールドワーク調査を実施し資料収集をした。 また、②「満洲」への日本人送出元である長野県にある満蒙開拓平和記念館、飯田市歴史研究所を7月に訪れ、フィールドワーク調査と関係者へのインタビューを行った。とくに満蒙開拓記念館では、本科研との協力を背景に朝鮮人「満州」移民に関する李光平写真展および孫春日教授の講演会を行うとともに、研究交流を行った。上記①②に関して、学内で報告集を作成するとともに11月に公開報告会、2019年2月に今回のフィールドワークで入手した映像の公開上映会を開き、研究成果を共有した。 さらに、③朝鮮人「満州」移民に関して中国東北の写真家である李光平氏が撮影した写真や口述史の背景を知るため、4月に同氏を招いてワークショップを行い、さらに写真集刊行にむけて写真選択や翻訳、編集、論考執筆などを行った。 以上を通じて、第2課題・第4課題に関する共同研究を大きく進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目は移民先である中国東北をフィールドワーク調査(2017年度)したことをうけ、3年目の2018年度は移民先に対応する移民元である韓国、また長野県をフィールドワーク調査して、現地の研究者や関係者と研究交流できたことは、第2課題・第4課題の内実を深化させるのに大きく貢献した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2019年度は、本科研4年間の総まとめとなるように、次のような研究活動をめざす。 まず、①日本の「満洲」侵略の最初の地である旅順・大連、瀋陽への現地フィールドワークと事前の勉強会、事後の報告会を夏季に実施する。これに関連して、第1課題「『満洲』におけるセクシュアリティの展開」に関して研究会を実施する。 次に、②第4課題「ポスト冷戦に想起される「満洲」の記憶と痕跡」のまとめとして、中国東北・延辺で「満洲」に渡った朝鮮人一世の写真と聞き取りを長年にわたって続けてきた李光平氏の仕事を翻訳・整理・編集し、さらに研究代表者・分担者・協力者の論考を含めた著作を出版するとともに、同氏を日本に招聘して関連行事(写真パネル展、出版記念書評会など)を行う。 さらに、3)上記の第1課題、第2課題「日本人/朝鮮人の「満洲」移民の思想と文化」、第3課題「中国人/欧米人の「満洲」期の社会と文化」に関連する本科研の総括シンポジウムを年末に実施するとともに、小規模の若手公開フォーラムを開催し、それぞれの研究に関する国内および海外(中国東北・韓国)の研究者を招聘して討論・検討を行い、若手も含めた歴史的、思想的、文化的な考察を行う。 最後に、以上の「満洲」科研の研究成果をまとめる単行本の内容案をかため、出版をめざす。
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Research Products
(14 results)