2017 Fiscal Year Annual Research Report
Phenomenological Research on vulnerability and limitation of human being based on collaboration with Nordic phenomenologists
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16H03346
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浜渦 辰二 大阪大学, 文学研究科, 教授 (70218527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中 真生 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (00401159)
稲原 美苗 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (00645997)
石原 孝二 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (30291991)
小手川 正二郎 國學院大學, 文学部, 准教授 (30728142)
中澤 瞳 (齋藤瞳) 日本大学, 通信教育部, 助教 (30756010)
池田 喬 明治大学, 文学部, 専任准教授 (70588839)
筒井 晴香 玉川大学, 教育学部, 非常勤講師 (90760489)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 北欧現象学 / 傷つきやすさ / 生老病死 / 性とジェンダー / 障がい |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、「老い」を共同研究の核に据えて、それにまつわる身体的変容・老いと誕生・老いと性・老いと病い・老いと障がい・老いと痛み・老いと死といった諸問題に焦点を当てること、また、それぞれが取り組んで来た問題に相互乗り入れをすることで共同研究を深め、本研究の共通テーマのワークショップを開催することも計画した。前年度からの繰り越しとなった研究分担者の北欧諸国への派遣により、ストックホルム大学でセミナー“Feminist Phenomenology: Perspectives from Japan”(2017/6/12)を開催し、中澤と中がを発表を行い、ストックホルムの研究者と意見交換をし、また、トロンハイムのノルウェー科学技術大学での北欧現象学会(2017/6/15-17)にて、浜渦がPlenary session “On Dis/Ability in Husserl’s Phenomenology”を、稲原、小手川の2人が、Irina Poleshchuk(Finland, Helsinki University)とLisa Folkmarson Kaell(Sweden, Stockholm University)とともにParallel session “Nordic-Japanese Panel: The Phenomenology of Vulnerability - Birth and Aging”を行った。また、国内での研究会として、第4回研究会を日本大学(2017/5/27)にて、第5回研究会を神戸大学(2017/9/30)にて、第6回研究会を大阪大学(2018/1/29)にて行い、特に第6回研究会は、東アジア哲学会議「現象学・臨床哲学・倫理学を繋ぐ」も兼ねて、中国語圏の研究者を7人(広州から2人、香港から1人、台北から4人)招いて開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
第4回研究会では、スウェーデンおよびノルウェーで発表予定の浜渦、小手川、稲原、中、中澤がそれぞれ本番と同様に英語での発表を行い、研究協力者である英国人研究者Michael Gillan Peckitt講師からのコメントを得ることができた。第5回研究会では、研究分担者の石原孝二(東京大学大学院総合文化研究科)「認知症の哲学」、筒井晴香(東京大学CBEL)「身体変容の倫理的正当化:美容的アンチエイジングと性別移行」、および、研究分担メンバー以外から古怒田望人(大阪大学大学院人間科学研究科)「レヴィナスにおける老いの時間的構造-ジャンケレヴィッチをとおして-」、川崎唯史(国立循環器病研究センター)「生命倫理における弱者性/傷つきやすさ:現象学との関係に注目して」という4人の研究発表会を行なった。前述のようにスウェーデン・ストックホルムでのセミナー、ノルウェー・トロンハイムでの北欧現象学会での発表を通じて、北欧現象学者たちとの多くの意見交換を実現することができた。他方、研究分担者の多くは、これまで10年来の北欧現象学会との繋がりのみならず、14年来の東アジア現象学会議との繋がりも持って来ているが、後者の繋がりでこれまで出会った中国語圏の研究者たちのうち、「傷つきやすさと有限性の現象学的研究」という関心を共有してきた研究者として、広州中山大学の廖欽彬、李樺、香港中文大学の張政遠、台北政治大学の汪文聖、林遠澤、林鎮国、台北陽明大学の許樹珍の7人を招いて、第6回研究会を東アジア哲学会議と兼ねて開催した。これは、北欧出張を計画していた研究分担者の1人が、所属変更があり新しい勤務先で出張をすることが難しく翌年度に延期したために残った予算を当てることで実現したが、これにより、本科研の研究にも拡がりができることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は「死」を共同研究の核に据えて、それにまつわる誕生と死、老いと死、病いと死、障がいと死、痛みと死、性と死、看取りといった諸問題に焦点を当てる。北欧への派遣、北欧からの招へいも前年度と同様に考えているが、最終年度となるので、これまでの共同研究の成果をそれぞれの立場から公表・公開する作業へ比重を移して行くことになる。来年度も、日本現象学会から北欧現象学会への派遣として、研究分担者の池田、小手川、筒井の3人がポーランド・グダニスクで開催される北欧現象学会に参加・発表する予定である。また、第6回研究会と兼ねて行われた東アジア哲学会議で新しく作られた繋がりにより、第2回東アジア哲学会議を台北政治大学にて開催する計画を立てており、これにより、北欧現象学者との共同研究として始まった本科研の研究は、東アジア現象学者との共同研究としても発展していく可能性が出てきている。年度末には、3年間の研究成果をまとめて報告書を刊行するとともに、その研究成果をまとめた書物(仮題『人間の傷つきやすさと有限性--日本と北欧の現象学的共同研究』)を近い将来に出版して、その成果を世に問うことを目指している。
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[Book] 哲学すること2017
Author(s)
中真生(木田直人・渡辺誠編)
Total Pages
704
Publisher
中央公論社
ISBN
978-4-12-005028-2
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