2018 Fiscal Year Annual Research Report
能楽及び能楽研究の国際的定位と新たな参照標準確立のための基盤研究
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16H03369
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
山中 玲子 法政大学, 能楽研究所, 教授 (60240058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 圭造 法政大学, 能楽研究所, 教授 (70360253)
竹内 晶子 法政大学, 国際文化学部, 教授 (10409344)
林 容市 法政大学, 文学部, 講師 (40400668)
横山 太郎 跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (90345075)
豊島 正之 上智大学, 文学部, 教授 (10180192)
高橋 悠介 慶應義塾大学, 斯道文庫(三田), 准教授 (40551502)
玉村 恭 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (50575909)
児玉 竜一 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10277783)
高桑 いづみ 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, その他部局等, 特任研究員 (60249919)
M G Watson 明治学院大学, 国際学部, 教授 (20190283)
ペレッキア ディエゴ 京都産業大学, 文化学部, 准教授 (70802164)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 能楽 / 能面 / 型 / 世阿弥 / 禅竹 / 演出 / 謡曲 |
Outline of Annual Research Achievements |
本共同研究の成果は最終的に『英語版能楽全書』の形で出版を計画しているが、それに向けて本年度は以下のような研究実績を積み重ねた。 能の脚本構造とナレーションの特徴、音楽・所作・舞台など演出上の特徴、また「小書」と呼ばれる特殊演出の形成と展開、近代の能における身体の認識、次第に自由な演技が抑制されていく過程等について研究を進め、英語原稿化した。これらの成果の一部は、テルアビブ大学で行われた国際学会や、ロンドンで行われた研究と芸術を結びつけた催し等で発表している。また、現代の能役者の経済的基盤、他の舞台芸術・芸能とは異なる能興行のシステム、能楽における素人の役割等についても調査・研究を進め、英語原稿化を終えている。 能面の作者、大小鼓や笛などの楽器の変遷、能装束、美術品としても価値のある謡本等、能楽に関わるモノの歴史についての研究を進め原稿化するとともに成果の一部を論文として発表している。また、世阿弥の能楽論については、チームの代表者により新しい視点での博士論文が提出されている。狂言の形成と展開、役者が作品を変えていく仕組み等についても最新の研究成果を書き下ろし、英語原稿化した。 能に採り入れられた仏教関連語句や中世の宗教と能の関係、キリシタン文献に見える芸能記事についてはそれぞれ研究を進め、学会発表や論文化をおこなっている。仏教関連語句のデータベース構築作業も少しずつ進んでいる。現代思想の中で能がどのように受け入れられてきたかといった新しい視点での研究もまとめの段階に入りつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間の前半で広がった問題意識の元に、各チームが原稿化を進めている。英語版能楽全書の刊行を最終目的にしているため、個別の論文の数は少ないが、研究成果はチームごとに確実にまとめている。国際学会での発表5本、その他の海外の催しでの講演やセミナー発表3本など、海外への情報発信にも力を入れている。相対的に遅れが出ている分野もあるが、最終年度に集中して研究を進めることで取り戻せると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度が最終年度となるため、すべてのテーマについて、『英語版能楽全書』としての原稿をまとめていく。刊行は英語版が先になるが、編集の過程で明らかになった知見は、研究成果発表会等の機会を設け、日本語でも発信していく。また書籍とリンクさせたウェブサイトでの関連画像やデータベースの公開なども準備を進めていく。 イエズス会資料については、芸能関係記事の解読を進め、論文化する。
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Remarks |
上記サイトに研究内容、活動実績の報告を載せているが、研究拠点の総合的なサイトであるため、他の研究資金による研究成果や活動実績と一緒に掲げられている。本研究の現在進行中の成果はグーグルドライブのフォルダ(closed)で共有しており、まだ公開していない。
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