2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study on Dunhuang manuscripts about Buddhism, Taoism and folk belief During 9th and 10th century
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16H03404
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
荒見 泰史 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (30383186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遊佐 昇 明海大学, 外国語学部, 教授 (40210588)
松尾 恒一 国立歴史民俗博物館, 研究部, 教授 (50286671)
上島 享 京都大学, 文学研究科, 教授 (60285244)
桂 弘 広島工業大学, 情報学部, 准教授 (80643022)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 敦煌 / 儀礼 / 仏教 / 道教 / 民間信仰 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、研究計画に基づき、意見交換、資料の収集、翻刻作業、現地調査、進捗状況の確認の5項目を中心に研究を進めた。とくに翻刻作業においては『覚禅鈔・施諸餓鬼』と敦煌本BD5298『呪食施一切面燃餓鬼飲食水法』並『結壇散食迴向発願文》』の比較検討や敦煌本『大部禁方』の比較検討を進め「敦煌的施餓鬼法與日本蔵《覚禅鈔・施諸餓鬼》――BD5298《呪食施一切面燃餓鬼飲食水法》並《結壇散食迴向発願文》解題附校録――」、「従密教儀軌的演変来探討中唐期的宗教儀礼――以敦煌本《大部禁方》為中心――」として海外で刊行されることが決まっている。また現地調査では、香港の盂蘭勝会を調査して唐代の盂蘭盆や施餓鬼との状況を比較検討し、奈良薬師寺の慈恩会の調査では、唐前期の儀礼との検討を進めることができた。また進捗状況の確認では、7月29日と11月13日の2回、「仏教の東漸と西漸」(広島大学開催)、「法会の史料と儀礼」(京都大学開催)として国際研究集会を開催し、検討を進めることができた。こうした研究を基盤として、「『大目乾連冥間救母変文』の書き換えと「経典化」」(『敦煌写本研究年報』第11号、23-38頁、2017年3月(査読有り))、「香港の盂蘭勝会の現状と餓鬼供養」(『アジア社会文化研究』第18号、1-33頁、2017年2月(査読有り))、「敦煌本『仏説諸経雑縁喩因由記』と唱導」(『国立歴史民俗博物館報告』第188集、125-146頁、2017年3月。(査読有り))、「中国仏教と祖先祭祀」(『宗教と儀礼の東アジア』、勉誠出版、34-59頁、2017年3月。(査読有り))のような数点の論文を刊行することもできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記したように、平成28年度は研究計画に基づき、意見交換、資料の収集、翻刻作業、現地調査、進捗状況の確認の5項目のすべてを実施することができた。研究分担者との意見交換や現地調査、そして研究会の開催も頻繁で、充実した研究ができていると考える。中国国内で刊行される膨大な資料の購入も今のところ問題はなく、こうした資料による翻刻作業も極めて充実している。刊行を予定している翻刻成果のうち、「敦煌的施餓鬼法與日本蔵《覚禅鈔・施諸餓鬼》――BD5298《呪食施一切面燃餓鬼飲食水法》並《結壇散食迴向発願文》解題附校録――」は、台湾の国立政治大学との共同作業により、共同で学術雑誌『出土文獻研究視野與方法』として刊行される予定である。進捗状況の確認として行われた2回の国際研究集会でも、台湾、中国、ベルギー、カナダの研究者を交えた議論を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に基づき、1.意見交換(研究代表者と研究分担者は、引き続き海外の研究協力者、国内の連携研究者らとスカイプ、E-mail、国際電話等で個別に連絡を取り合い、研究資料や分析についての意見交換を行う。)、2.資料の収集(中国国家図書館出版社『敦煌遺書』などの敦煌写本の写真資料や壁画資料の図録や翻刻資料集などで、新たに刊行されたものや、現在広島大学が所蔵していないものについては逐次収集する。)、3.翻刻作業(主として研究代表者、研究分担者が唱導関連とみられる資料を敦煌文献中から捜索し、さらに意見交換等により選定、分類し目録作成と翻刻の準備を行う。具体的には初年度と同じ。)、4.現地調査(敦煌文献の調査としては、中国国家図書館所蔵、大英図書館、フランス国家図書館の資料を必要に応じて調査し、翻刻の確認作業と同時に、新資料の調査を行う。現地調査は可能な限り年に2回程度行う予定である。)、5. 進捗状況の確認(年度内に研究代表者、研究分担者、海外の研究協力者、連携研究者があつまる公開の研究集会で進捗状況の公開で行う。その場で進捗状況を確認し合い、意思の疎通を図るほか、対外的な研究成果の公開にもつなげていく。2年度目以降は海外での開催を検討していきたい。)、の5項目を引き続き行う。なお、4.現地調査では、現在に継承される宗教儀礼の調査も併せ行う予定である。
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