2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H03476
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
豊見山 和行 琉球大学, 法文学部, 教授 (40211403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
知名 定寛 神戸女子大学, 文学部, 教授 (00163725)
赤嶺 守 琉球大学, 法文学部, 教授 (20212417)
麻生 伸一 沖縄県立芸術大学, 音楽学部, 講師 (30714729)
屋良 健一郎 名桜大学, 国際学部, 上級准教授 (40710158)
深澤 秋人 沖縄国際大学, 総合文化学部, 教授 (50612785)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 琉球史 / 古文書 / 史料学的研究 / 尚家文書 / 歴代宝案 / 評定所文書 |
Outline of Annual Research Achievements |
実績を学会報告、科研内報告会、論文刊行に分類して記す。 (1)学会:2017年度日本古文書学会大会(2017年10月14日、15日。沖縄県立芸術大学)において、豊見山和行「琉球における国内発給文書の構成と機能―御朱印・言上写・印紙―」の記念講演報告と屋良健一郎は「種子島の家譜史料とその周辺 ―種子島家の「歴史」と家臣が記した「歴史」―」の研究報告が行われた。(2)科研内報告会:2017年09月23日(沖縄県立芸大)において、深澤秋人「維新慶賀使上京をめぐる鹿児島県庁「御書付」『尚泰侯実録』と尚家文書関係史料―」、知名定寛「仲尾次政隆の赦免について―『同治元年よ里仝十三年ニ至ル御手形写抜書』2号文書から―」、赤嶺守「『歴代宝案』の「キョウ」と「准」の読み下しについて」、麻生伸一「冊封儀礼関連の祝文について―尚育と尚泰を中心に―」等の研究報告が行われた。年度末の2018年3月21日(沖縄県立芸大)には、知名定寛「「琉球藩王尚泰訴状」について―小栗憲一『琉球日記 全』を中心にして―」、深澤秋人「維新慶賀使上京をめぐる「口上覚」と庶務課御印―尚家文書334号を用いて―」、赤嶺守「琉球王国の東南アジア貿易-貿易経済の自立と他律-」、豊見山和行「現物貢納経済と琉球王府農政-「田地廻勤首尾」「両先島御検使日記」等の分析から-」、屋良健一郎「沖縄県外所在の琉球関係史料について」、麻生伸一「『口上覚案文集』(大嶺薫コレクション)からみる首里・那覇」等の個別報告会を実施した。研究上の問題点を多様な視角から討議し、新たな論点を明確にすることができた。(3)論文刊行:『琉球史料学の船出』(勉誠出版、2017年5月)に、屋良健一郎「琉球辞令書の様式変化に関する考察」、豊見山和行「「言上写」再論-近世琉球における上申・下達文書の形式と機能-」等が収録された。本科研と密接に関連した成果となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本科研の研究課題の一つは琉球古文書の体系化であるが、近年、日本古文書学会において琉球古文書に対する関心が高まり、それに関連する専門書が刊行された(『琉球史料学の船出 いま、歴史情報の海へ』2017年)。この論集には本科研メンバーが3人含まれていること、また研究代表者は2017年度の日本古文書学会大会において記念報告を行うなど、本科研の研究成果の一端を歴史学界に提示することができた。 各研究分担者の研究状況も順調に進展している。年2回行われる科研研究会における報告も討議を通じてより一層、充実したものになっている。また、琉球古文書と関係する史料集として、研究代表者と分担者(2名)が関わる『国立台湾大学図書館典藏 琉球関係史料集成』第四巻を2017年5月に刊行することができた。引き続いて同史料集成・第五巻の編集刊行にも取り組んでおり、2018年度中に刊行される予定である。 さらに、琉球国時代の多良間島の地方史料が新たに発見され、本年度から本科研代表者と分担者(1名)が共同して整理・研究することになった。旧来の地方文書では不明であった点(琉球王府の離島支配政策や島役人の文書行政能力の実相など)が、本科研と連動することによって、新たに解明されることが予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者は、琉球古文書の体系化を目指し、旧来の研究成果を点検し、史料学の視点から新たな文書体系論を構築するものとする。各分担者は、それぞれの研究領域における古文書の分析において、同様に史料学の視点から研究を行うものとする。指示・命令等に関連する文書(外交文書を含む)については一定程度の進展が見られる。しかしながら、他方、記録(日記)の分野においては研究が不十分な状況にある。既知の日記を再検討するとともに、未公開の日記(「渡口真安日記」等)が研究に活用しえるよう、公開へ向けて関係者および関係機関へ働きかける予定である。
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Research Products
(11 results)