2018 Fiscal Year Annual Research Report
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16H03476
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
豊見山 和行 琉球大学, 人文社会学部, 教授 (40211403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
知名 定寛 神戸女子大学, 文学部, 教授 (00163725)
赤嶺 守 琉球大学, 人文社会学部, 教授 (20212417)
麻生 伸一 沖縄県立芸術大学, 音楽学部, 准教授 (30714729)
屋良 健一郎 名桜大学, 国際学部, 上級准教授 (40710158)
深澤 秋人 沖縄国際大学, 総合文化学部, 教授 (50612785)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 歴代宝案 / 尚家文書 / 田代安定関係史料 / 職人関係史料 / 真宗法難関係史料 / 漂着関係史料 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一は、研究代表者および研究分担者3名で、8月に国立台湾大学図書館に所蔵されている琉球関係古文書の現地調査を実施した。同大図書館には戦前の台北帝国大学時代において小葉田淳らによって収集された琉球古文書が多数所蔵されていた。それらは主に沖縄戦で焼失を免れた古文書類(原本、写本)である。その中で特に、冊封使節団との交易の記録である『評価方日記』(写本)の調査は、同大学図書館との国際共同プロジェクトである『国立台湾大学展蔵 琉球関係史料集成』第5巻目(翻刻原文、口語訳、注釈)の刊行と密接に関わるものであり、当該年度中に刊行することができた。同史料集の刊行は、本科研メンバー3名(豊見山、赤嶺、麻生)が関係しており、本科研の成果の一部である。 第二は、5年間の研究期間の中間の年にあたることから、研究の中間的取りまとめ、およびその成果の研究報告会を11月に開催した。研究者だけでなく、一般市民へも研究成果を還元することを目的としたものである。同報告会では、対外関係文書の特徴(赤嶺、深澤、屋良)、国内文書の特徴(豊見山、麻生、知名)に大別して報告を行い、多数の聴衆者が参加していた。 第三に、年度末の3月には、科研メンバーだけなく、琉球史料学に関係する博士前期課程の院生による報告会を実施した。本研究課題を若手研究者へとつなげる試みとするものであり、史料学の新たな領域に着手するユニークな研究報告も見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画をほぼ達成することができた。特に、国立台湾大学図書館での調査は有意義であった。同館はWEBで史資料を公開しているが、琉球関係では未公開史料も多く、それらを手にとって調査できたことは、本科研の研究テーマである史料学研究を前進させる上で極めて有益であった。 研究代表者および分担者の研究成果を公開する方法として、11月に実施した成果報告会によって、多様なアプローチ方法によって琉球史料学が構築されつつあることを示すことができた。そのことによって、幅広い関心をもつ研究者および聴衆者と学術的な意見交換を行い、そのなかで交わされた討議から新たな課題がより鮮明になった。今後の琉球史料学の構築を図る上で示唆に富む知見が得られた。 また、尚家文書の修復に関係して、マイクロ撮影および紙焼き版による史料収集を行うことができた。旧来、研究史料として利用することが大きく制限されていた尚家文書を本科研のいていち早く収集・活用することが可能となっており、今年度も継続して収集しえたことも大きな成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、各分担者の研究課題を継続して進める。その際、研究代表者によって関係史料の状況を点検し、一定程度の見直しを図る必要のある課題については、修正を図るものとする。 第二に、残りの研究期間が2年となったことから、各分担者による琉球史料学の成果の取りまとめを意識した作業を図るものとする。 第三に、重要な史資料の翻刻および分析作業をより一層進展させる。具体的には、久米島関係史料、多良間島関係史料など、地方史料の分析が低調な状況にある。これらの史料翻刻は本科研テーマの基礎作業となるものである。それらの蓄積が本科研では必須であることから、次年度においては、より傾注して取り組むこととする。 第四に、大量の史資料をデジタル画像データとして収集することを継続する。そのことは、本科研の成果を多くの研究者と共有する上で必須であることによる。
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Research Products
(14 results)