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2017 Fiscal Year Annual Research Report

Fundamental Archaeological Research on estates of To-ji Temple -Niimi-no-sho and Yuge-no-sho-

Research Project

Project/Area Number 16H03508
Research InstitutionEhime University

Principal Investigator

村上 恭通  愛媛大学, 東アジア古代鉄文化研究センター, 教授 (40239504)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 鈴木 康之  県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (10733272)
槙林 啓介  愛媛大学, 東アジア古代鉄文化研究センター, 准教授 (50403621)
Project Period (FY) 2016-04-01 – 2020-03-31
Keywords東寺領荘園 / 新見荘 / 製鉄 / 弓削荘 / 製塩
Outline of Annual Research Achievements

前年度(2017年度)の研究活動成果を『東寺領新見荘の鉄・弓削荘の塩-研究成果中間報告会-』と題して岡山県新見市正田公民館ホールで公開し、研究代表者、分担者全員で公開した(5月20日、新見市教育委員会後援)。
新見荘の鉄については、5月に前年度発見・試掘した神郷町三谷床畑遺跡を測量調査し、遺跡の立地を記録した。7月には当時領内で製鉄が行われたという文字記録がある吉野(現、神郷町高瀬)において踏査を実施し、貫神ソウリ、鍛冶屋床を含む3箇所の製鉄遺跡を確認した。貫神ソウリでは木炭を噛み込んだ製錬滓を採集し、その木炭に対して放射線年代測定を実施したところ、14世紀の年代を得ることができた。まさに東寺領荘園時代の製鉄遺跡であることが確定され、来年度、レーダー探査、試掘を実施することを決定した。
弓削荘の塩については、8月に上島町佐島における宮ノ浦遺跡を発掘調査し、新たに設定したⅡ区の調査において、10~13世紀の遺物をともなう礫群を発見した。礫群は被熱礫を大量に含むため、火を利用した生産施設の残骸と判断し、その性格を確定するために来年度も調査を継続することとした。とくに遺構にともなう土器・陶磁器については周辺地域の出土資料と合わせて詳細な比較検討を行った。この発掘調査成果については報告書を作成し、3月末に刊行した。また弓削島においては製塩遺跡を踏査し、弓削神社および高濱八幡神宮の試掘調査を来年度実施することとした。
2017年度の調査活動成果についてはパンフレットを作成し、3月末に刊行し、公開に努めた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

文献史の研究史では、新見荘の鉄産地として指摘されていた神郷町高瀬(旧吉野)は製鉄遺跡の存在はこれまで全く周知されておらず、遺跡台帳にもその記録はなかった。その高瀬において、製鉄遺跡を確認し、またそのうちの一つ、貫神ソウリが確実に東寺領荘園時代に属することがわかったことはきわめて意義深い。地名交渉を中心に研究が進められてきた文献史研究との新たなコラボレーションも期待される。またその踏査の過程で、貫神ソウリとは全く立地、規模が異なる製鉄遺跡を発見することができた。これは古代にさかのぼる可能性が高く、製鉄に関して荘園領前史の研究につながるものといえよう。
弓削荘については、佐島宮ノ浦遺跡の発掘調査で古代末~中世前半の遺構群・遺物を発見することができた。被熱礫群は海の生産活動に関する生産施設の残骸である可能性が高く、その解明に着手できたといえる。またこの礫群がいわゆるクロスナ層にともなっていることから、古代末~中世の沿岸地域で生産活動が活発になった時期が温暖化と密接な関係をもつことも想定できるようになった。瀬戸内における沿岸地域の活発な生産活動と環境変動との関係を議論する端緒になるという点でその意義は深い。

Strategy for Future Research Activity

新見荘の鉄については、明確な年代を得た貫神ソウリで地中レーダー探査を実施し、地下に眠っているであろう製鉄炉地下構造の主軸を確定し、試掘し、今後の本調査において全体像を把握するための基本的な調査を実施する。鍛冶屋は地表の状況から、後世における撹乱が予想されるが、地下構造を依存している可能性が高いことから、地中レーダー探査の成果を見て、試掘の実施について改めて検討する。
弓削荘の塩については、宮ノ浦遺跡を継続調査し、古代末~中世前半の遺構を精査し、製塩あるいはその他食料生産活動に関する所見を得る。また弓削島においては弓削神社、高濱八幡神社で試掘調査を実施し、揚浜式塩田の浜床を検出する。

  • Research Products

    (6 results)

All 2018 2017

All Presentation (4 results) Book (2 results)

  • [Presentation] 上島町宮ノ浦遺跡と弓削嶋荘の塩生産をめぐって2017

    • Author(s)
      槙林啓介
    • Organizer
      東寺領新見荘の鉄・弓削嶋荘の鉄-研究成果中間発表報告会-
  • [Presentation] 新見市神郷油野所在三谷床畑遺跡と新見荘の鉄2017

    • Author(s)
      村上恭通
    • Organizer
      東寺領新見荘の鉄・弓削嶋荘の鉄-研究成果中間発表報告会-
  • [Presentation] 土器・陶磁器に見る荘園の物流と暮らし2017

    • Author(s)
      鈴木康之
    • Organizer
      東寺領新見荘の鉄・弓削嶋荘の鉄-研究成果中間発表報告会-
  • [Presentation] 上島町宮ノ浦遺跡での製塩活動2017

    • Author(s)
      槙林啓介・村上恭通
    • Organizer
      海洋考古学会
  • [Book] 宮ノ浦遺跡Ⅲ-第6次・第7次発掘調査報告-2018

    • Author(s)
      有馬啓介、持永壮志朗ほか
    • Total Pages
      205
    • Publisher
      愛媛大学法文学部考古学研究室・愛媛県越智郡上島町教育委員会
  • [Book] 東寺領新見荘の鉄・弓削荘の塩-研究成果中間発表会-2017

    • Author(s)
      村上恭通、槙林啓介、鈴木康之
    • Total Pages
      14
    • Publisher
      愛媛大学東アジア古代鉄文化研究センター

URL: 

Published: 2018-12-17  

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