2020 Fiscal Year Annual Research Report
近世国家境界域「四つの口」における物資流通の比較考古学的研究
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16H03510
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
渡辺 芳郎 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (10210965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関根 達人 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (00241505)
菊池 勇夫 宮城学院女子大学, 付置研究所, 研究員 (20186191)
堀内 秀樹 東京大学, キャンパス計画室, 准教授 (30173628)
池田 栄史 琉球大学, 国際地域創造学部, 教授 (40150627)
木村 直樹 長崎大学, 多文化社会学部, 教授 (40323662)
深澤 秋人 沖縄国際大学, 総合文化学部, 教授 (50612785)
野上 建紀 長崎大学, 多文化社会学部, 教授 (60722030)
片山 まび 東京藝術大学, 美術学部, 教授 (80393312)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 近世日本国家領域境界 / 四つの口 / 物資流通 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終成果報告書を2021年3月に刊行した。内容は、本科研費で実施した南西諸島における考古学的調査報告3編と、研究代表者・分担者・協力者による論考10編よりなる。総166頁である。総括として、各論での議論に基づいて、以下の3つ論点を整理することができた。 (1)「四つの口」における物資流通のあり方が、国内外の経済構造、流通構造とその変化と密接に結びつき、どのように組み込まれているかについて、「松前口」や「長崎口」についての研究を通じて検討する必要性が指摘された。 (2)「四つの口」の相互比較という論点である。長崎口の輸出入において、唐船とオランダ船の間にその内容に大きな差異はなく、さらにそれぞれの口において物資の共通性が見られる。このことは流通構造の発達した近世後期において、「長崎口」と「琉球口」の競合関係を生み出している。一方、「長崎口」におけるヨーロッパ製品や「松前口」の「蝦夷土産」などの独自性も見られる。同じ肥前磁器の海外輸出において「四つの口」間での共通点と相違点の比較の必要性が指摘された。「四つの口」における物資流通の関係は補完関係と競合関係の二面から考えていく必要がある。 (3)「四つの口」は交易の場でありながらも、同時にそこに居住する生活の場でもあり、各地における手工業生産の解明も重要な論点となる。「松前口」においては19世紀に入ると手工業者の増大が認められ、蝦夷地警護を命じられた松前藩の性格の変化との関係が指摘されている。また「対馬口」の倭館では、日本における茶の湯需要に応じて倭館窯が設置され、陶器生産が行われている。一方、長崎出島や倭館では、滞在者の生活用品として国外からの輸入品(出島:ヨーロッパ陶磁器など。倭館:甕器など)が重要な役割を果たした点も、交易地としての特色と言えよう。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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