2017 Fiscal Year Annual Research Report
Anthropological Studies on Veneration of Saints and Holy Relics in the Mediterranean World
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16H03531
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
赤堀 雅幸 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (20270530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 勇文 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (20150550)
東長 靖 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (70217462)
藤原 久仁子 (森田久仁子) 甲子園大学, 栄養学部, 准教授 (00464199)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 宗教 / 儀礼 / 崇敬 / 聖者 / 聖遺物 / 地中海 / イスラーム / キリスト教 |
Outline of Annual Research Achievements |
アブラハム的宗教における多様な存在への信仰である「崇敬」の諸相を学際的に明らかにする共同研究の手始めとして、地中海周辺域を対象地域にした調査・研究を3カ年にわたり実施すべく、今年度は研究組織のいっそうの充実に努め、研究会の着実な実施を通して論点の整理を図るとともに、共同および個別の調査、可能な範囲での成果発表を行った。具体的には以下の活動を行った。
(1)キリスト教の聖者・聖遺物崇敬に関する研究を強化するため連携研究者1名を研究分担者に変更した。(2)7月23日に上智大学で研究会、11月11~12日にKKR伊豆長岡千歳荘で研究合宿を実施した。(3)平成20年1月21~22日に東洋大学熱海研修センターで、フランス国立科学研究センター(CNRS)他と共催の国際ワークショップを、若手研究者の発表を中心とした国際ワークショップとの併催で開催した。(4)研究代表者、研究分担者、連携研究者、研究協力者6名を、8月上旬に10日間前後イタリアに派遣し、現地在住の聖職者等の協力も得て共同現地調査を実施した。(5)聖者・聖遺物崇敬関連図書を収集し、主として上智大学アジア文化研究所に所蔵した。(6)聖者・聖遺物崇敬に関する基本文献目録の作成を進めた。(7)フランスのCNRSスーフィズム班、トルコのウスキュダル大学スーフィズム研究所、米国の神学大学院連合と交流を図り、研究協力について検討した。(8)共同研究参加者の個別の研究発表、論文の他、5月20~21日に京都大学ケナン・リファーイー・スーフィズム研究センターが主催した国際シンポジウムの共催に加わり、研究代表者、研究分担者、連携研究者7名が共同研究の成果を発表した。(9)概説書『スーフィズムを学ぶ人のために』の執筆を進めた。(10)平成30年7月開催予定の中東研究世界大会(WOCMES Seville 2018)に2部会を組んで応募し、採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
キリスト教の聖者・聖遺物崇敬に関して予定通り研究分担者1名を追加したが、イスラームの聖者崇敬に関する豊富な研究蓄積と比較すれば、なお研究組織、事例研究蓄積その他の強化を図る必要がある。イスラームの聖遺物崇敬についても、同様にいっそうの研究強化が急がれる。研究会は3回を予定のところ2回に終わったが、研究合宿、若手研究者の発表を中心とする国際ワークショップ、CNRSスーフィズム班との共催による国際ワークショップは予定通りに開催した。さらに京都大学での国際シンポジウムは予定外であったが、本研究の活発な活動の一端を示すよい機会となった。また、WOCMES Seville 2018での2部会発表は予定通り採択され、積極的な国際発信も順調といえる。個別調査への派遣については3名派遣予定のところ、資金面の不足もあり、残念ながら今年度は実施できなかったが、研究代表者、研究分担者、連携研究者は別途資金による関連主題での個別調査を実施した。共同現地調査については、予定通りアッシジとローマでの調査を実施し、現地在住の聖職者等の協力を得て、主立った大聖堂の他、15を超える教会等宗教施設で聖人・聖遺物崇敬に関する聞き取り調査を行った。聖人記念祭の参与観察等も行うことができ、イスラームの聖者・聖遺物崇敬との共通性と差異についていくつかの重要な知見を得ることができた。成果の発表については、研究代表者、研究分担者、連携研究者の個別の論考発表は順調であったが、聖者・聖遺物崇敬基本文献目録の作成と概説書『スーフィズムを学ぶ人のために』は予定より刊行準備が遅れている。文献収集は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成30年は成果公開に重点を置きつつ、理論面の整理と研究完了後のより発展的な研究展開の検討を行う。口頭発表については、研究計画調書に掲げたとおり、7月に開催されるWOCMES Seville 2018で2部会を組み、国際発信を行う。本研究以前にもイスラームの聖者崇敬に関する国際会議発表を通して、海外の研究者との連携に勤めてきたが、上記会議を中東のキリスト教研究者にも注目される機会としたい。中東のキリスト教研究者は少数であり、彼らの研究活動を集約するような動きも乏しいことから、本研究の国際発信がそのきっかけの一つとなり、イスラーム研究との架橋を促進することを期待している。加えて、上智大学が主催するSORW 2018(Sophia Open Research Weeks 2018)を利用して、一般向けの成果公開シンポジウムを実施する。成果の刊行としては概説書として『スーフィズムを学ぶ人のために』を年度内に、専門書としてCNRSスーフィズム班と協力して英文論集を平成31年度に刊行する。個別事例研究がそもそも不足している点についてはこれをさらに充実させ、共同調査もWOCMES参加に併せて短期実施する。研究会や共同調査を通して、キリスト教研究者とイスラーム研究者の間での問題意識の共有を図ってきたが、思った以上にこれまでの理解の枠組みの間には距離があり、これを縮める努力をなお重ねる。統合的な理論枠組みの確立にはさらに時間を要すると思われるが、当初より予測された両者の類同性と差異の他、キリスト教における行為としての「祝福」や聖像の重要性など論点のいくつかは明らかになっており、平成30年度内には仮設的な枠組みを打ち出したい。平成31年度以降に向けては、キリスト教研究者をより強化した研究組織の形成、対象地域の拡大などを旨とした研究計画を策定する。
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Research Products
(63 results)
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[Presentation] Sayyido-Sharifology Twelve Years Later2017
Author(s)
Morimoto Kazuo
Organizer
1st International Symposium of Kenan Rifai Center for Sufi Studies at Kyoto University, "Islamic Studies and the Study of Sufism in Academia: Rethinking Methodologies"
Int'l Joint Research / Invited
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[Book] 総合人類学としてのヒト学2018
Author(s)
赤堀雅幸、梅崎昌裕、今村薫、高倉浩樹、深山直子(部分担当)、高倉浩樹(編)
Total Pages
259 (143-158, 191-204, 205-217)
Publisher
放送大学教育振興会
ISBN
9784595318610
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[Book] 東方キリスト教諸教会:研究案内と基礎データ2017
Author(s)
三代川寛子、戸田聡、小林稔、貝原哲生、辻明日香、松田俊道、岩崎真紀、石川博樹、石原美奈子、三宅理一、高橋英海、武藤慎一、太田敬子、佐藤紀子、飯野りさ、三尾真琴、菅瀬晶子、中村妙子、吉村貴之、浜田華練、藤田康仁、井上浩一、草生久嗣、アガスティン・サリ、ヴェリヤト・シリル、豊田浩志、関哲行他(部分担当)、三代川寛子(編)
Total Pages
608 (5-8, 20-25, 73-82, 122-138, 140-145 et al.)
Publisher
明石書店
ISBN
9784750345079
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[Book] The Bridge of Cultures: Potentiality of Sufism2017
Author(s)
Akahori Masayuki, Tonaga Yasushi, Osman Nuri Kucuk, Ahmet Murat Ozel, Sawai Makoto, Inoue Kie, Yamamoto Naoki, Quentin Giroud, Ayse Akyurek (contibutors), Tonaga Yasushi (ed.)
Total Pages
112 (iv-vi, 31-46)
Publisher
Kenan Rifai Center for Sufi Studies, Kyoto University
ISBN
9784908868030
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[Book] Copts in Context: Negotiating Identity, Tradition, and Modernity2017
Author(s)
Miyokawa Hiroko, Nelly van Doorn-Harder, Sebastian Elsasser, Mariz Tadros, Angie Heo, Gaetan du Roy, Severine Gabry-Thienpont, Carolyn M. Ramzy, Ghada Botros, Rachel Loewen, Nora Stene, Frederick M. Denny, Maged S. A. Mikhail, Caroline T. Schroeder, Karel C. Innemee et al. (contributors), Nelly van Doorn-Harder (ed.)
Total Pages
296 (151-156)
Publisher
The University of South Carolina Press
ISBN
9781611177848
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[Book] Pilgrimage and Ambiguity Sharing the Sacred2017
Author(s)
Tonaga Yasushi, Angela Hobart, Thierry Zarcone, Dionigi Albera, Pierre-Jean Luizard, Isabelle Charleux, Jurgen Wasim Frembgen, Manoel Penicaud, Robin M. Wright, Omar Gonzalez Nanez, Carlos Cesar Xavier Leal (contributors), Angela Hobart, Thierry Zarcone (eds.)
Total Pages
242 (69-84)
Publisher
Sean Kingston Publishing
ISBN
9781907774775
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