2017 Fiscal Year Annual Research Report
専門家と専門知の発展から見た国制史の再構築--前近代の西洋と日本
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16H03535
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田口 正樹 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (20206931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 健 京都大学, 大学院法学研究科, 准教授 (70437185)
林 信夫 京都大学, 国際高等教育院, 特定教授 (40004171)
加納 修 名古屋大学, 大学院人文学研究科, 教授 (90376517)
大月 康弘 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (70223873)
小川 浩三 専修大学, 法学部, 教授 (10142671)
松本 英実 青山学院大学, 法学部, 教授 (50303102)
鈴木 直志 中央大学, 文学部, 教授 (90301613)
新田 一郎 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 教授 (40208252)
櫻井 英治 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80215681)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 専門家 / 専門知 / 国制史 / 西洋 / 日本 / ビザンツ / フランス / ドイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究2年目である平成29年度は、個別課題の検討を進展させるとともに、内外の研究者との対話を通じてこれまでの研究成果の中間的な総括と比較検討の深化を図った。夏に札幌で開催された合宿研究会においては、10世紀のビザンツ帝国皇帝の世界認識とその背後の専門知との関係、専門家・専門知の観点から見た18世紀後半プロイセンにおける軍制改革論議について報告がなされ、内容をめぐって活発な議論がかわされた。またゲスト研究者による、室町時代日本の対外関係に関する報告について、対中国外交における専門家と専門知の意義などが討議された。秋には研究代表者がゲッティンゲン大学で開かれた国際研究集会に参加して、前近代日本の法専門家に関する日本学界の研究成果を紹介した。また、来年度に予定されている日本西洋史学会の小シンポジウムに向けて、関係するメンバーが報告内容のうちあわせを行うなど、事前準備をすすめた。年度末には、ドイツからゲッティンゲン大学のフランク・レックスロート教授を招聘し、京都と東京で国際研究集会を開催した。同教授からは、ゲッティンゲン大学における研究プロジェクト「Expertenkulturen des 12. bis 18. Jahrhunderts」の活動をふまえて、12世紀以降の西洋世界における専門家の存在を支えた条件や専門家と非専門家との関係について報告があり、また11世紀末以降の特にフランス北部における知識人の出現のプロセス・背景・意義に関して詳しい報告があった。いずれのテーマについても、本共同研究メンバー以外の研究者も含めて突っ込んだ意見交換が行われた。また日本側からは、15世紀中頃ドイツの帝国集会における法専門家の活動を切り口に、法専門家が帝国集会と帝国国制の発達に果たした役割について報告がなされ、日本との比較も考慮しつつ議論が行われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究会での報告と議論を経て、個別課題の検討が進展するとともに、課題間の比較検討についても手がかりが得られた。本共同研究のメンバーによって直接研究されていないタイプの専門家についても、ゲスト研究者の報告とそれをめぐる質疑から、有益な情報が得られた。来年度に予定されている学会での成果発表に向けた準備も着実に行われた。ドイツからの研究者招聘は、予定した2人のうち1人の来日が来年度に延期されたが、もう1人の招聘研究者との詳細な意見交換によって、本研究にとって大きな刺激が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度まで、共同研究は全体としておおむね順調に推移しているため、大きな計画変更の必要性や研究遂行上の問題点は特に認められない。ドイツからの研究者招聘については、予定の2人のうち1人の来日が来年度末に延期されたため、国際研究集会の性格を総括的なものに設定して対応し、それに向けてドイツ側との打ち合わせや意思疎通を密に行っていく。また、今年度に引き続き来年度も、メンバー以外の研究者を研究会に招いて、考察される専門家のタイプの幅を広げ、専門家と専門知の国制史的意義に関する議論をより深めていく。
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Research Products
(28 results)