2016 Fiscal Year Annual Research Report
Constructing the Arctic International Legal Order: Science, Environment, Ocean, and Institution
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16H03551
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
柴田 明穂 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (00273954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西本 健太郎 東北大学, 法学研究科, 准教授 (50600227)
深町 朋子 福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (30310014)
大河内 美香 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (10326001)
岡松 暁子 法政大学, 人間環境学部, 教授 (40391081)
山地 一代 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (40399580)
黒神 直純 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (80294396)
岡田 陽平 神戸大学, 国際協力研究科, 准教授 (30760532)
望月 康恵 関西学院大学, 法学部, 教授 (10316151)
西谷 真規子 神戸大学, 国際協力研究科, 准教授 (30302657)
大西 富士夫 日本大学, 国際関係学部, 助教 (20542278)
稲垣 治 神戸大学, 国際協力研究科, 特命助教 (90772731)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 国際法学 / 北極 / 海洋法 / 国際環境法 / 北極評議会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、北極域に適用される国際規範・組織形成の急展開を「北極国際法秩序の構想」として体系的に提示することを試み、我が国北極国際法研究を飛躍的に進展させることを目的とする。そのため、本研究は北極評議会(AC)の動向を反映して2段階に分けて展開する。第1段階は、2015-17年AC議長国・米国が力を入れる①北極科学協力条約作成と②北極地域海化構想を重点的に考察する。また、ACの枠外で展開する中央北極海(CAO)での漁業管理条約の交渉過程もフォローする。後半第2段階では、③AC組織化の動向とオブザーバー制度の展開と④北極環境法秩序形成の動向を重点的に考察する。 初年2016年度の研究は、交付申請書の記載どおり、まず第一に、北極評議会科学協力タスクフォース(SCTF)で交渉されていた新条約、北極国際科学協力促進協定案につき、その交渉過程や各条文案を一次資料に基づき詳細に検討し、その中間報告を査読付き国際ジャーナルに、研究代表者とその指導学生との共著論文として発表した。その後の交渉の進展をも加味したより実質的な学術的考察を、4回の国際ワークショップで報告し、その一部を大学紀要に日本語で公表した。 第二に、交付申請書の記載どおり、2016年7月に北極海における新たな法秩序形成の動向につき包括的に考察する国際シンポジウム「The Future Design of the Arctic Ocean Legal Order」を開催した。研究代表者、研究分担者の一部が報告を行うと共に、ロシア、米国、ノルウェー、カナダから招へいした北極海洋法研究の第一人者からも報告がなされ、それらを研究代表者がセンター長を務める極域協力研究センター・ワーキング・ペーパー・シリーズとして公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、研究代表者が代表を務める挑戦的萌芽研究(南極条約体制を中心に研究)及び文部科学省北極域研究推進プロジェクトArCSとの相乗効果もあり、2016年度一年間で、我が国の北極国際法研究を飛躍的に進展させることができた。第一に、我が国では初めてとなる、北極国際法秩序の現状とその将来的動向につき包括的に考察した研究論文集、柴田明穂編著『北極国際法秩序の展望:科学・環境・海洋』が『神戸大学国際協力論集』第24巻1号特集号として発刊された。ここに、柴田明穂「北極:国際科学協力推進のための独自の法域」、西本健太郎「極海コード採択後の北極海航路の規制」、D.ヴァンダーズワーグ「北極海のガバナンス:揺れ動く海の姿、霞む水平線」が収録されている。この特集号は、我が国における今後の北極国際法研究の土台となるであろう。 第二に、我が国で最も関心の高い北極の「海」における法秩序形成の動向につき、国際シンポジウム「The Future Design of the Arctic Ocean Legal Order」を開催し、その報告の一部をワーキング・ペーパーとして公表できたことは重要な成果である。このうち、ロシアの見方に関するSergunin, A, “Russian Approaches to an Emerging Arctic Ocean Legal Order” (PCRC Working Paper 6, 2017)やBaker, B, “Large Marine Ecosystems and a Neighborhood Approach to Ecosystem-Based-Management in the Arctic (PCRC Working Paper 9, 2017)などは、この分野の最先端・最新の研究成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度の研究も、当初の計画どおり、着実に研究成果を挙げていくことが予想できる。まず、北極国際法秩序形成における北極評議会(AC)の役割を検討するため、AC米国議長国の最終閣僚会議の成果を分析しつつ、次期フィンランド議長国(2017-19年)のAC諸課題の展望を考察するワークショップを、期間前半に開催する。関連する研究報告は、2017年6月スウェーデン・ウーメオで開催される、第9回国際北極社会科学会議(ICASS IX)でも行われる。 第2に、北極国際法秩序形成における非北極圏国及び国際機関・NGOの役割につき考察する国際シンポジウムを、期間後半に開催する。なお、このシンポジウムと関連させて、11月にフィンランド・ロバニエミで開催されるPolar Law SymposiumとRovaniemi Process Conferenceにて、シンポ参加者と最終打合せを行う。本シンポジウムの成果を、これまでの研究成果とも統合しながら、書籍ないし雑誌の特集号として公表することを企画する。
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Research Products
(22 results)