2017 Fiscal Year Annual Research Report
集団的労使関係法の再構成に関する基礎的研究 ―「労働組合法」を超えて
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16H03555
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
中窪 裕也 一橋大学, 大学院国際企業戦略研究科, 教授 (90134436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 寿 (奥野寿) 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (10313058)
野川 忍 明治大学, 法務研究科, 専任教授 (30180714)
富永 晃一 上智大学, 法学部, 教授 (30436498)
土田 道夫 同志社大学, 法学部, 教授 (40183868)
神吉 知郁子 立教大学, 法学部, 准教授 (60608561)
桑村 裕美子 東北大学, 法学研究科, 准教授 (70376391)
野田 進 九州大学, 法学研究院, 教授 (90144419)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 労使関係法 / 労働組合法 / 比較法 / 集団的労使関係 / 立法史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本の労働組合法の立法過程の研究を踏まえつつ、今日の労使関係法のあるべき姿を、比較法研究にもとづき検討することを目的とする。3年計画の2年目となる本年度の主要な実績は、以下のとおりである。 第1に、日本の労働組合法の立法過程の研究として、最初で最後の根本改正の議論がなされた1952年改正を再検討した。前年に労働省からアメリカ的な色彩が強い提案がなされて大議論になったものの、結果的に小規模な改正にとどまったという経緯は広く知られているが、その過程を今日の眼で精査することにより、以後の労働組合法の位置づけが明確化された。この成果については、平成30年夏に季刊労働法に発表される予定である。 第2に、日本の現行労働組合法が制定された翌年である1950年に視点を定めた比較法研究の成果をまとめ、季刊労働法257号(2017年夏号)に「特集・戦後労使関係法制の比較法研究--1950年を切り口に」として発表した。当時のイギリス、フランス、ドイツ、アメリカの労使関係法の状況を検討する中から、現在に至る各国の法制の特徴を浮かび上がらせることを目的とするものであり、上記4か国につき分担して、主論文とこれに対するコメントを執筆し、さらに、当時の日本の労使関係法の状況についても分析する論文を掲載した。なお、イギリスについては、第一人者の小宮文人教授(専修大学)にも、研究協力者としてコメントを執筆していただいた。 第3に、上記各国の最新の労使関係法の動きについても、海外調査を含む研究を続けた。特に、2017年の夏にマクロン大統領の強力なイニシアチブによって大規模な法改正が行われたフランス法については、研究会でも重点的に検討を行い、論考を発表した。また、ドイツの連邦憲法裁判所が2017年7月に下した労働協約の根本原則に関わる重要判決についても、研究会で報告のうえ、論考を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本の労働組合法の制定過程の研究を、1952年の改正時までカバーする形でほぼ完成することができた。また、当時の英仏独米4か国の労使関係法の状況に関する比較法研究を予定どおりまとめ、雑誌の特集として発表することができたのは大きな成果であり、さらに、各国の現在の重要な動きについても、適時に紹介や検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目は、これまでの研究を踏まえながら、日本の労働組合法の意義と問題点により力点を移して検討を行い、全体の総括を行う。その上で、比較法研究の成果を活かしつつ、今後のあるべき集団的労使関係法に関する具体的な提言を考える。
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