2017 Fiscal Year Annual Research Report
Verification on the civil justice reform through periodic surveys on civil litigants
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16H03568
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
菅原 郁夫 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (90162859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垣内 秀介 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (10282534)
山本 和彦 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (40174784)
山田 文 京都大学, 法学研究科, 教授 (40230445)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 民事訴訟 / 利用者調査 / 司法制度改革 / 民事訴訟法 / 裁判官評価 / 弁護士評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に実施した「2016年民事訴訟利用者調査」の結果に関して、過去の調査結果との比較や各種クロス集計を内容とする第1次分析を行った。 上記調査では,過去の調査同様,訴訟に至る経緯,弁護士への有無,訴訟の利用動機,訴訟過程と結果の評価,裁判官,弁護士に対する評価,訴訟制度全般に関する評価といった点に詳細な質問をなしている。その主だった結果を示すならば、訴訟に至る経緯および弁護士の有無については、弁護士増加の影響か、代理率の増加と依頼時期の早期化傾向が見られた。訴訟の利用動機に関しては、過去の調査と大きく変わるところがなく「公正な解決」を第一目的とする回答者が最も多かった。訴訟に要する費用や時間に関しては、前者では評価の改善がみられたが、後者は僅かずつ評価が下がっていることが見いだされた。訴訟過程に関しては、全般に肯定評価の割合が下がる傾向にあったが、その原因は否定評価の増加ではなく、「どちらともいえない」の増加にある点が示されている。この点は、裁判官や弁護士の評価にも当てはまり、いずれに対しても明確な評価が減少するといった共通した変化がみられた。訴訟結果に関しては、有利不利の観点では、有利と感じた回答者の割合が若干増え、その評価も肯定回答が半数を超すものが多かった。最後に、訴訟制度全般に関する評価に関しては、多くの項目でこれまでの調査と比べ大きな変化はみられないが、制度の満足度に若干の改善がみられた。しかし、その反面、再利用意志や推奨意志に関しては、2006年調査から一貫した低下傾向が見られた。 これらの分析結果は、本調査の1次報告書である『2016年民事訴訟利用者調査』(商事法務 2019年)として次年度に公刊されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究計画に従い、昨年度に実施した2016年民事訴訟利用者調査の第1次分析をなすため、研究分担者に裁判官2名、弁護士2名、研究者5名の研究協力者を加えた研究会を組織し、8回にわたる研究会を実施した。その成果として、商事法務より『2016年民事訴訟利用者調査』(2019年5月 全784頁)の原稿を作成した。出版は、出版社の都合により次年度にずれ込み、その関係で、一部予算を繰り越したが、実質的成果は予定通り達成された。 1次分析の内容は、研究実績の概要に示した通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、調査結果の第1次分析を行った。その公刊は上記事情により次年度の5月にまでずれ込んだが、次年度は、その第1次分析の報告書を関係各所に送付し、その評価を踏踏まえた第2次分析に着手する予定である。さらに、それら2次分析の成果は、関係学会において報告する予定である。
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Research Products
(1 results)