2017 Fiscal Year Annual Research Report
Economic policies of emerging democracies in the post-neoliberal period
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16H03575
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
仙石 学 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 教授 (30289508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 充豊 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (00335415)
馬場 香織 北海道大学, 法学研究科, 准教授 (10725477)
油本 真理 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 助教 (10757181)
磯崎 典世 学習院大学, 法学部, 教授 (30272470)
小森 宏美 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (50353454)
村上 勇介 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (70290921)
中田 瑞穂 明治学院大学, 国際学部, 教授 (70386506)
平田 武 東北大学, 法学研究科, 教授 (90238361)
出岡 直也 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (50151486)
横田 正顕 東北大学, 法学研究科, 教授 (30328992)
上谷 直克 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センターラテンアメリカ研究グループ, 研究員 (80450542)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 政治経済学 / ネオリベラリズム / 地域間比較 / 新興民主主義国 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は研究の2年目として、主要国におけるネオリベラル的な政策と政治との関係を、特に近年のいわゆるポピュリズムの動きとの関連で検討することを試みた。 今年度の主要な成果としては、スラブ・ユーラシア研究センターの国際シンポジウム「体制転換から四半世紀」(2016年12月)の中で、科研に関連する経済政策および福祉政策を扱ったペーパーをまとめた論文集Sengoku, Manabu (ed.) The great dispersion: the many fates of Post-Communist society (Sapporo: Slavic-Eurasian Research Center, 2018)がある。ここでは東欧とロシアの福祉政策、およびネオリベラル的な経済政策の比較が行われ、程度の差こそあるもののロシアも東欧もある程度ネオリベラル的な政策を受容せざるをえないこと、ただし同じ状況に置かれている諸国の間でも福祉が整備されている国と整備が遅れている国という相違があり、それには産業状況や女性の労働市場参加の程度の相違が影響を与えていることを明らかにした。また仙石は分担者の村上勇介とともに東欧とラテンアメリカのポピュリズムに関する比較を行い、東欧ではネオリベラル的な政策を実施した主体の相違がポピュリズムの現れ方の相違と結びついていること、またラテンアメリカでもポピュリズムの現れ方はそれ以前のネオリベラル的な政策の相違と連関していることを明らかにした。この成果は研究会での報告および村上編の論文集で公表されている。 また2017年度には、他のプロジェクトとの合同で研究会を2回実施した。11月の研究会では上にあげた仙石・村上の報告のほかロシアにおけるポピュリズムに関する議論が行われ、2月の研究会ではロシアとメキシコを題材に社会政策と経済政策の関連が議論された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本科研は2年目の目標として、各自がそれぞれの対象とする地域に関する政策研究を継続すると同時に、比較及び一般化のための体系的・理論的な検討も進め、また合わせて、段階的に研究成果を学会及び一般に公表していく、ということを掲げていたが、これについては一定の成果を上げていると判断することができる。 個別の事例研究については、業績報告にあげているように研究代表者および研究分担者それぞれに相応の業績があり、ある程度の進展を確認することができる。比較および一般化に向けての検討としては、今年度は「ポピュリズム」を一つの軸として多面的な地域比較を行うということを掲げていたが、これについてはまだ萌芽的な段階ではあるがネオリベラル的な政策のあり方の国による違いがポピュリストの形成の有無、あるいはその形の違いに結びついているという議論を提起することができた。合わせて国際シンポジウムを軸とした論文集の作成を通して、ポスト社会主義国はネオリベラル的な政策をある程度実施することが不可欠でありつつ、それに対応するための施策(特に福祉)には国ごとに相違があること、その背景としては各国の政治・経済状況の相違が影響していることを明らかにした。このような点から、理論化・一般化に向けての作業もある程度進んでいることから、本科研についてはおおむね順調に進展していると判断することができると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画としては、3年目も2年目と同様に、各自がそれぞれの対象とする地域に関する政策研究を継続すると同時に、比較及び一般化のための体系的・理論的な検討も進め、また合わせて、段階的に研究成果を学会及び一般に公表していくということを掲げているが、引き続き計画通りこれらの作業を進める方針である。特に今年度は、中間的なまとめとして研究会よりやや規模が大きいワークショップを、京都大学東南アジア地域研究研究所CIRASセンターのプロジェクトと合同で実施することも予定している。ただ昨年度の段階で今後進展させるとしていた科研費「ユーラシア地域大国(ロシア,中国,インド)の発展モデルの比較」との連携については、今年度はロシアを除いて十分に行うことができなかったため、今後は特に中国との比較も視野に含めつつ、研究を進めていくこととしたい。
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