2016 Fiscal Year Annual Research Report
The new development of East Asian regional integration and main players
Project/Area Number |
16H03590
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
大庭 三枝 東京理科大学, 工学部教養, 教授 (70313210)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 一史 九州大学, 経済学研究院, 教授 (80271625)
中山 俊宏 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 教授 (60439560)
川島 真 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90301861)
青木 まき 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター東南アジアI研究グループ, 研究員 (90450535)
鈴木 早苗 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 研究企画部, 海外研究員 (30466073)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 地域統合 / 東アジア / ASEAN / 中国 / アメリカ / 日本 / 地域主義 / 地域化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は本研究プロジェクトの初年度ではあるが、本プロジェクト開始前から同メンバーで共同研究そのものは立ち上げていたため、今後の研究を進めていく上での土台となる研究成果を発表することが可能となった。最大の成果は8月に出版した大庭三枝編著『東アジアのかたち:秩序形成と統合をめぐる日米中ASEANの交差』である。本研究メンバーと外部の2名の執筆者による本書は、従来の多くの東アジア秩序の形成や統合についての議論が米中日といった大国間の合従連衡のみに焦点を当てたものになりがちであるのに対し、そうした大国の動きに目配りする一方で、ASEANおよびASEAN諸国が果たしている役割に光を当てたものである。 その他、メンバーそれぞれが海外調査を始めとする研究活動を進めながらアウトプットを随時発表した。大庭は上記の編著の取りまとめに加え、メンバーの一人である鈴木早苗氏の編著である『ASEAN共同体』への寄稿など、広域秩序の中でのASEANの動きに焦点を当てた論文を多く発表したのに加え、国内外の学会や会議での発表を行った。清水は学会誌『アジア研究』に「世界経済におけるASEAN経済共同体と日本」を始めとして、ASEAN地域経済統合についての様々な論考を発表した。中山は上記の大庭編著における論考に加え、大統領選で揺れ動くアメリカの今後のアジア地域秩序や統合への影響についての考察した論考等を発表した。川島は地域秩序形成や統合において存在感を増す中国の対外政策、対東南アジア政策、日中関係、さらにそれらの歴史的ルーツについての論考を数多く発表するとともに、国内外の学会や会議などでの研究発表、講演を多々行った。鈴木は『ASEAN共同体』を取りまとめるとともに、ASEAN統合の政治的側面の現在についての論考発表を多く行った。青木は、『アジ研ワールドトレンド』にメコン川流域開発についての論考を発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究プロジェクトは、(1)中国。ASEAN諸国。日本、アメリカにおける聞き取り調査(2)メンバーそれぞれによる一次資料、二次資料の収集と分析(3)定期的な研究会の開催の三本柱で進められる。 (1)については、予定していた北京における聞き取り調査に加え、バンコクからクアラルンプールまであえて鉄道で現地調査を行い、地方や国境地帯の状況やASEAN連結性の現状についての調査を行うことができた。さらに、ブルネイに赴き、ブルネイ政府関係者や政府系シンクタンク、中国系企業や金融機関、華僑団体など様々な場での聞き取り調査を行うことができた。 (2)については、各自が各々その担当するテーマに応じた作業を進めた。 (3)については、合計5回の研究会(海外調査時における現地での打ち合わせは除く)を東大駒場キャンパスまたは学士会館で行った。第1回研究会(5月22日)は平成28年度における研究計画についてメンバーで再検討、確認を行い、第2回研究会(6月19日)は中山が「オバマ後のアメリカ:共和国の危機と『トランプ現象』の底流」と題した、現在の状況を見る上でも貴重な研究発表を行った。第3回研究会(7月18日)には、趙妹嵐:京都大学東南アジア研究センター外国人招聘研究員を招聘し、「昆明からバンコクまでの道路発展から、雲南省と東南アジア国の関係を見る」と題した研究報告をしてもらい、メンバー間で雲南省という中国の対東南アジア戦略の拠点から見た専門家からの考察について、知見を共有した。第4回(10月10日)には、大庭が北京出張およびバンコク~クアラルンプール出張報告を行い、メンバー間で知見を共有した。第5回(12月18日)は、川島が「習近平政権下の対東南アジア政策」と題した発表を行い、中国の対外進出の中での東南アジアの位置付けについての専門家からの見方を、メンバー間で共有した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度も、(1)中国。ASEAN諸国。日本、アメリカにおける聞き取り調査(2)メンバーそれぞれによる一次資料、二次資料の収集と分析(3)定期的な研究会の開催の三本柱に沿って研究プロジェクトを進める予定である。 (1)については、この年度は、ASEAN 諸国のうちマレーシア、フィリピンといった先発国とともに、カンボジア、ラオス、ベトナムといった後発諸国へ赴き、政策当局者へのインタビューをすると共に国境付近の視察を行う予定である。また、トランプ政権誕生を受けて、新政権の下でアメリカの対アジア政策について、何らかの新たな方向性が提示される可能性が高い。よってワシントンに赴き、2000 年代中盤以降、特にオバマ政権で対東アジア外交に関わった関係者、また可能であれば現 在関わっている関係者らへのインタビューを集中的に行うとともに、新政権関係者に対す るインタビューも平行して行うことを計画中である。 (2)は平成28年度に引き続き、各自がその担当するテーマに応じた作業を進める予定である。 (3)については、平成28年度と同程度あるいは少し頻度をあげて研究会を開催することを予定している。 なお、鈴木が在外研究のためコペンハーゲンに滞在するため、メンバーとしてのステイタスを研究分担者から研究連携者に変更した。しかし。研究体制の実態および各自の分担については変更はなく、前年度と同様の体制で研究を進めていく予定である。
|
Research Products
(36 results)