2016 Fiscal Year Annual Research Report
ニーズベースの医師需給再推定と地域医療資源配置の医療経済分析
| Project/Area Number |
16H03634
|
|---|
| Research Institution | Yokohama City University |
|---|
Principal Investigator |
安川 文朗 横浜市立大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (90301845)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝山 貴美子 横浜市立大学, 医学部, 教授 (10324419)
根本 明宜 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (20264666)
吉永 崇史 横浜市立大学, 国際総合科学部(八景キャンパス), 准教授 (40467121)
中田 喜文 同志社大学, 総合政策科学研究科, 教授 (50207809)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
| Keywords | 医師需給 / 地域医療 / プライマリケア / 医療労働 / 専門看護師 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
わが国の地域包括ケア実現に向けた医療労働(health workforce)とりわけプライマリケア医や専門看護師を中心とする地域住民の医療と生活の質向上に資するための人材確保の実態と将来予測を行うため、今年度は１）厚生労働省公式統計や地方自治体統計の集計データを手掛かりにした、横浜市および関東地域の医師需給実態把握、２）研究班が独自に作成したアンケート調査票にもとづく、上記地域の医師の就労意識、地域住民の受診意向についての調査と分析を実施した。そしてこの結果から、「Analysis on the potential demand and supply for primary care in Yokohama city: break down view approach and the determinants of healthcare services」および「横浜市におけるプライマリ・ケア進展の可能性と課題」を執筆し、それぞれ専門雑誌への投稿を準備している。
いっぽうで、本研究テーマの先駆的地域である米国、カナダ、英国および大陸ヨーロッパにおける医師需給モデルの構築実態と医療人材配置の現状について精査し、本研究の分析モデルに応用するため、同地域の医療労働・医療政策研究者を招聘して研究パネルを立ち上げ、研究視点や方向性、分析手法の妥当性などについて検討した。これらの検討をもとにして、ニーズベースの医師需給予測モデルの考慮すべき特性や必要な変数などを検討した。以上の研究成果により、次年度では「国民生活基礎調査」や「就労実態基礎調査」の個票ベースでの定量分析を行うとともに、看護師の今後の就労動向、およびＩＴ普及による医師労働の変化などの定性的検討もふまえた、将来の地域医療ニーズのモデル化作業にとりかかることとした。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度計画における基礎的文献の調査、および国際比較研究のためのパネルづくり、また医師、看護師などの地域医療専門職の就労動向と地域住民の受診動向についてのミクロデータ収集(アンケート調査)などがおおむね予定どおり実施され、またその成果の一部を論稿として公開可能にした。さらに、派生的な研究対象として、アジア(ラオス)の医師需給推定に向けた調査方法の共有や、地域看護の特性とその必要性に関する聞き取り調査などが行えたことで、本研究テーマを進めるための分析対象の拡張が図れたことは重要な進展である。
|
| Strategy for Future Research Activity |
今後は、１)わが国の公式統計の個票データ分析(データ公開申請による)を行うこと、２）医療労働(医師、看護師等)の現在および将来の就業の予測や就労時間、ワークロードのの変化予測(ＩＴ、ＡＩ進展との関連で)を、実際の就労者への聞き取り等から行うこと、およびカナダ、米国、ヨーロッパの医療人材需給予測研究とわが国の研究との関連についての、分析モデルレベルでの比較検討を行うこと、を中心として、さらに今年度実施した横浜地域の地域医療人材の配置予測についてさらに精緻なデータ収集と分析を行い、その結果を行政や医療機関の専門家と共有し意見交換を行いながら研究を進めていく予定である。
|
