2019 Fiscal Year Annual Research Report
福島原発事故後の復興ならびに社会再編過程に関する行政社会学的領域横断研究
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16H03696
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
佐藤 彰彦 高崎経済大学, 地域政策学部, 教授 (00634974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼尾 波子 東洋大学, 国際学部, 教授 (10265936)
荒見 玲子 名古屋大学, 法学研究科, 准教授 (20610330)
高木 竜輔 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 准教授 (30512157)
金井 利之 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (40214423)
山下 祐介 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (90253369)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 原発事故災害 / 復興過程 / ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究を通じて、主に以下の内容を明らかにすることができた。 第1は、各種の復興政策の展開にみられる政策意図と、被災地行政ならびにに被災当事者の状況やニーズとの間に乖離がみられ、そのことが復興プロセスを阻害している可能性があることである。一例としては、除染事業の意義と効果、帰還を含めた被災地復興のグランドデザインにかかわる諸課題等があげられる。 第2は、そのなかでも、被災者たちの生活再建と復興にかんして、より長期的な視野からの対応がこれからも求められることである。これにかんしては、避難指示解除時期と前後して(解除後もなお)、避難先で居を構えた被災者たちのなかにさえ、帰還意向や復興への関与といった意識が現れていることなどがあげられる。戦後の災害研究の歴史のなかで、「災害」は、復興を含めたより長期的な視野からとらえられるようになってきたが、とくに大規模災害においては、世代交代をも視野に入れた「超長期」的な視座が必要とされよう。 第3は、今回の原発事故がある意味、既存の制度的枠組みや国・地方の権力関係を見直す契機であったととらえたときに、依然として「中央集権」型に代表される政治・行政の支配構造が被災地のなかでさえ、「経路依存」として深く根付いた状態にあり、それが復興過程のさまざまな場面で負の作用として働いてきたことである。 第4は、その一方で、復興に向けたさまざまな取り組みのなかに、こうした状況の改善に資する萌芽がみられたことである。たとえば、質的統合法などを用いて「アリーナ」を用意することが、政策や施策・事業への住民等の主体的行動に影響を及ぼすこと。社会的弱者対応のための「カルテ」を作成し、これを「トリアージ」的な手法と組み合わせることで、彼らの救済を含む効率的な福祉行政推進の可能性が導出されたことなどである。 以上の成果をとりまとめた書籍刊行の準備を進めている(本報告時点)。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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