2016 Fiscal Year Annual Research Report
市民社会とともに歩むコモンズ―中山間地域活性化の数理社会学的研究―
Project/Area Number |
16H03698
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
中井 豊 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (00348905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧川 裕貴 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (60456340)
金澤 悠介 岩手県立大学, 総合政策学部, 講師 (60572196)
朝岡 誠 立教大学, 社会情報教育研究センター, 助教 (70583839)
富永 京子 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (70750008)
吉良 洋輔 東京工業大学, 環境・社会理工学院, JSPS特別研究員 (80748757)
堀内 史朗 山形大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (90469312)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 支援型消費 / 社会的投資 / クラウドファンディング |
Outline of Annual Research Achievements |
起業家に関しては、2016年8月に西粟倉村で調査を行い、現地で活動している起業家達の現在置かれている状況、特にどのように消費者を開拓しているかを調査した(堀内、富永、金澤)。また、山形県の起業家および労働者に対する調査を整理し、両地域の起業家の特徴を比較した(堀内)。その結果、起業家には、地元とは無縁な高学歴な起業家でコミュニティとは距離を置き自己実現を価値としてスモール・ビジネスを行う起業家(ノマド型)と、地元由来で高学歴でない起業家でコミュニティを基盤に地域貢献を価値として中規模ビジネスを行う起業家(コミュニティ型)に大別できるとの仮説を得た。 支援型消費者に関しては、国際比較調査ISSP2004年データと2014年データを用いて多項ロジットをはじめとした分析を行い、エシカルな消費の規定要因の変化を追った(朝岡)。その結果、①エシカルな消費者は2004年、2014年共に20%ほどであり大きな変化はない、②2004年においてはマスメディア視聴、所属団体がエシカル消費の駆動因になっていたが、2014年では遵法意識や救貧意識といった価値観に替わった、③エシカルな消費に否定的な層が若年層で増えつつある、以上が明らかになった。 社会的投資家に関しては、特定のクラウドファンディングサイトに特化したクローラーを開発し、起業家(プロジェクト設立者)と社会的投資家(プロジェクト支援者)のミクロレベルの行動を把握できる環境を整備した(中井、瀧川)。 理論構築に関しては、フィールド調査のインタビューに基づき、ボランティア・ジレンマ解決および 不人気規範の維持メカニズムを分析するモデルを構築した(吉良)。また、支援型消費や社会的投資のキーとなるであろう評判形成に関してシミュレーションを用いて基礎的な検討を行った(中井、瀧川)。以上の成果を別添の研究実績として国内外に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
起業家、支援型消費者、社会的投資家について、以下の研究進捗があった。起業家に関しては、地元とは距離を置き自由を希求する起業家がいることが分かった(ノマド型)。これは、従来から言及されてきた起業家像=地元(地域)を強く志向する起業家(コミュニティ型)とは大きく異なっている。 支援型消費者に関しては、ISSPの2次分析の結果、エシカルな消費が、動員されて行う行為から個人の価値観に基づいた行為に変わりつつあることが分かった。起業家と支援型消費者の各タイプを踏まえ、起業家と支援型消費者がどう連動し得るか興味深い。 社会的投資家に関しては、特定のクラウドファンディングサイトに特化したクローラーの開発を完了した。 以上から、今年度は、起業家と支援型消費者の在り様についていくつかの知見と仮説を得ることができ、また、社会的投資に関する大規模データを取得できる環境を整えたことから、概ね、順調な進捗であったと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方向性のポイントは、起業家・支援型消費者・社会的投資家の連動が存在するか、を明らかにすることである。特に、①起業家と市民(支援型消費者や社会的投資家)の関係性の実態、②支援型消費行動と社会的投資行動の連動の在り様を、実査する必要がある。 前者については、起業家が消費者や投資家との関係構築(インターネットの利用の仕方を含めて)を如何に行っているか、起業家のタイプによる違いに注目してインタビューを重ねてゆく。 後者については、都市部および地方のエシカルな消費者を対象にネット調査を行い、支援型消費を行う際の判断基準、社会的投資の実態などを明らかにしてゆく。 また、理論構築に当たっては、起業家・支援型消費者・社会的投資家の連動を前提に、プリンシパル・エージェント問題およびホールドアップ問題または評判形成の2次社会的ジレンマ・モデルとして分析を進めてゆく。
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Research Products
(28 results)
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[Book] Nova Publisher2016
Author(s)
Shiro Horiuchi and Tatsuhiro Takahashi
Total Pages
11
Publisher
"Globalization and regional revitalization in a local university of Japan." In: Globalization: Economic, Political and Social Issues (Eds. Bernadette Gonzalez)
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