2016 Fiscal Year Annual Research Report
人口減少社会における外国人労働力の再編に関する研究
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16H03707
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Research Institution | Hiroshima Kokusai Gakuin University |
Principal Investigator |
伊藤 泰郎 広島国際学院大学, 情報文化学部, 教授 (80281765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 由紀彦 放送大学, 教養学部, 准教授 (00601840)
西澤 晃彦 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (20245658)
吉田 舞 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, 研究部, 研究員 (50601902)
崔 博憲 広島国際学院大学, 情報文化学部, 教授 (60589373)
青山 薫 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (70536581)
中田 英樹 成蹊大学, アジア太平洋センター, 客員研究員 (70551935)
坂梨 健太 龍谷大学, 農学部, 講師 (90749128)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 外国人 / 移住労働者 / 移民 / エスニシティ / 技能実習 / 日系人 / 周縁労働 |
Outline of Annual Research Achievements |
日系人労働者と技能実習生を中心に、先行研究・関係資料・統計データ・支援団体の窓口への相談内容などについて資料収集・分析を行うとともに、国内と国外で調査を実施した。 国内では、熊本・福岡・香川・兵庫・大阪・長野・東京などにおいて、農業・漁業・造船・建設などに従事する技能実習生や受け入れ農家、第一次受入れ機関、支援団体への聞き取り調査を進めるとともに、日系のブラジル人・ペルー人・フィリピン人やアフリカ人への予備的な聞き取り調査などを行った。国外では、タイ・ラオス・ベトナム・フィリピンにおいて技能実習生・研修生の帰国者や志願者、送り出し機関、リクルーターへの調査、ペルー・メキシコ・パラグアイ・カメルーンにおいて日本での就労経験者などへの予備調査を実施した。また、外国人のセックスワーカーの支援や研究状況について、聞き取りや資料収集も行った。 現段階での主な成果は以下の通りである。①技能実習生の農業分野での受け入れのメカニズムや就労状況の変化について、国内の各産地である程度明らかにすることができ、今後研究を進める上での着眼点もいくつか明らかになった。②2008年の金融危機以降、減少を続けていた南米出身の日系人が増加に転じている地域があり、そうした地域での労働市場の変化や日系人の来日方法の変化などを研究する必要性が示唆された。③在日アフリカ人については、機縁法により地方在住者にインフォーマントを得て調査を進めたが、同国人よりもむしろ他の人々とのつながりが深いことなどが明らかになった。④ベトナムでの現地調査では、地域格差の拡大に加え、都市周辺と農村・漁村では来日者の属性やルート、費用、生活設計が異なることなどが明らかになった。⑤タイでの現地調査では、海外での就労動機の変化や、海外への出稼ぎ先として日本が選択肢の一つでしかなくなっている状況などが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
関連統計資料や先行研究の検討については、今年度中に予定していたことに関してはおおむね実施できた。国内調査については、各調査地域や調査対象の概況を把握するという今年度の目標はある程度達成できた。しかし、南米出身の日系人については、在留者数が増加に転じるというこれまでとは異なる動向が現れている時期であったこともあり、十分に状況を把握できない点があった。技能実習生についても、11月に外国人技能実習制度適正化法が成立したことの影響を研究するという新たな課題が生まれた。国外調査については、次年度以降に向けた予備調査としては十分な成果が得られた。ただし、上記のような国内状況の変化を新たにおさえる必要が生じたため、今年度の交付額を繰り越して国外調査の一部を次年度以降に実施することとした。研究会については、研究者相互の緊密な連携をはかるために、当初予定した回数より多く5回実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果を踏まえ、国内と国外の調査を中心に研究を実施する。昨年度に実施する予定であった国外調査の一部については、早急に実施することで研究に遅れが生じないようにしたい。また、それとあわせて、日本の外国人労働力の再編に関して通底する理論的な認識枠組みについて検討を行う。技能実習制度については新法の成立後もさらなる制度変更が議論されており、そうした状況についてもリアルタイムでおさえて研究を進めていくことにしたい。
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Research Products
(5 results)