2016 Fiscal Year Annual Research Report
異文化対応能力育成教育と外国人児童の就学促進―先進諸国の多文化的教室の現場から―
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16H03787
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Research Institution | Tokyo Future University |
Principal Investigator |
所澤 潤 東京未来大学, こども心理学部, 教授 (00235722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
プラナスナバロ イネス 帝京大学, 外国語学部, 講師 (00742066)
小池 亜子 (田中亜子) 国士舘大学, 政経学部, 准教授 (10439276)
古屋 健 立正大学, 心理学部, 教授 (20173552)
小川 早百合 聖心女子大学, 文学部, 教授 (20276653)
江原 裕美 帝京大学, 外国語学部, 教授 (40232970)
近藤 孝弘 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (40242234)
澤野 由紀子 聖心女子大学, 文学部, 教授 (40280515)
川口 直巳 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (60509149)
林 恵 帝京短期大学, 帝京短期大学, 准教授 (60759380)
志賀 幹郎 電気通信大学, 国際教育センター, 准教授 (70272747)
日暮 トモ子 有明教育芸術短期大学, 子ども教育学科, 教授(移行) (70564904)
Yoffe Leonid.G 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (80434265)
神部 秀一 東京未来大学, こども心理学部, 教授 (80750885)
入澤 充 国士舘大学, 法学部, 教授 (90307661)
猪股 剛 帝塚山学院大学, 人間科学部, 准教授 (90361386)
三輪 千明 広島大学, 国際協力研究科, 准教授 (00345852)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 多文化共生 / 異文化対応能力 / 義務教育 / 日本語教育 / 移民 / 台湾 / 新住民 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は本グループによる旧科研をままとめた総説論文を準備した。2017年4月に発行される『子ども学への招待』(ミネルヴァ書房)第21章「学校教育と外国籍の子ども」pp.246-260に掲載される。 本年度行った国内調査、海外調査は以下の通りである。 1)国内調査は、群馬県伊勢崎市、及び静岡県浜松市を中心に進めた。両市の教育行政は、外国籍児童生徒の就学、学習指導、及び日本人児童生徒の異文化対応能力向上に積極的に取り組んでいる。①本グループは小学校日本語教室の活性化を構想し、群馬県伊勢崎市の公立小学校の協力を得て、同校の日本語教室で外国籍児童生徒を対象にしたNIEの授業を試行し、授業開発に取り組んだ。その様子は、東京新聞で報道された。②静岡県浜松市が行っている不就学者ゼロ作戦について、すでに収集した資料の整理を行い、論文作成を進めており、2017年度中に発表できる見込みである。 以上のほか、日本語初期指導用副読本『やってみようにほんごかんたん』(第4版)を作成印刷し、群馬県伊勢崎市、太田市、大泉町の公立小中学校の日本語教室用に配付し、その効果の検証を進めている。また、愛知教育大学の日本語教育支援体制の進展状況の確認作業も進めている。 2)海外調査は、台湾において二つの現地調査を進めている。①台湾の「新住民子女」教育について台北市及び新北市で現地調査を行い、幼児教育施設の訪問調査を行うとともに、幼児教育施設及び学校教育での言語の扱いをどのようにしているかも調査した。②台北日本人学校で学校授業の国際化をはかる実験授業として、NIEの授業を実施することを企画し、学校の了解を得ることができた。この件については、現地の政府系の機関による日本語紙に記事として掲載された。2017年度9月に中学部の社会科で実施することになり、準備を進める段階になっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、国内調査は本科研の前身の科研で従来行ってきた成果のレビューを行うとともに、それらを基盤にし国内調査及び海外調査に着手した。 国際的な教室ということでは、伊勢崎市の公立小学校の協力を得て、日本語学級で従来になかったNIEの授業に着手した。これらは国際化状況を傍観的に追跡するものではなく、積極的にアクションリサーチを行うタイプの研究であり、外国籍児童生徒の教育の新機軸の提案であるともいえる。 海外のモデル的な事例の調査ということでは、台湾の調査が順調に進行している。多言語・多民族社会である台湾が、新住民と呼ばれるフィリピン人・インドネシア人・ベトナム人を受け入れてどのような教育上の問題を経験し、教育課程等でどのように対応しているかを探ることになった。また、台北日本人学校での国際的なNIEの実施についても協力を得ることが可能になった。 また他国の調査についても準備が進行している。 以上のように本科研は研究課題に沿った内容が着々と進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
第2年度は第1年度に試行した日本語教室でのNIEをモデル化することに挑む。台北日本人学校ではNIEの実験授業を実施する。国内ではおそらく日本で最もニューカマーの多い愛知県の小学校の現地視察を行う。浜松など不就学ゼロを目指している市町村ではどのように制度を構築しているかを議会や条例から探る。 台湾での教育課程や実態調査を進める。そのほか移民を受け入れている北欧、カナダ、スペインでの教室の国際化状況の現地調査を実施する。 現時点ではそのような見通しだが、単に多民族化の進行を確認すると言うことではなく、それによってどのように学校教育が豊かになりうるのか、その可能性を探る。
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