2016 Fiscal Year Annual Research Report
言語文化の観点に基づく汎用的言語能力概念の構築と教科横断型実践モデルの開発
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16H03795
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
藤森 裕治 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (00313817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳井 厚子 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (40225751)
田中 真由美 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (50469582)
新井 浅浩 城西大学, 経営学部, 教授 (80269357)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 言語文化 / 汎用型言語能力 / 教科横断 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.文献調査:各教科目における教科書・教材の比較調査を横断的に行った。調査は、次の分担で進めながら、教科目の違いを越えて示される汎用的言語能力観の有無と内実を検討した。〇 人格・道徳教育とつながる言語能力観を踏まえた道徳教科書・教材の目標設定〇 複言語主義に立った日本語教科書・教材の話しことば指導及び日本語の特質〇 批判的リテラシーとの関連性を踏まえた英語教科書・教材のreadingとwriting○国語科教科書・教材における「言語文化」の取り扱いと内容 2.臨床調査:以下の各学校を訪問し、研究課題に罹る調査研究を行った。○信州大学教育学部附属松本幼稚園・小学校。○大町市立美麻小中一貫校。○筑波大学附属小学校。○東京学芸大学附属小金井小学校。○長野市立緑が丘小学校。 3.海外調査:イギリス国内にある以下の学校において訪問参与観察調査を行った。○The wroxham school○Pyrford primary school○West byfleet Jr. school○Preston park primary school○St. Augustine primary school○HAlfierld primary school。また、新設されたChartered college of teachingのAlison Peacock所長に聴き取り調査を実施した。 4.論文発表等:国内の教育団体における講演として長野県・香川県・山形県・富山県・石川県・岡山県・徳島県・東京都の各地において汎用型言語能力にかかる研究内容を紹介し、教員研修の参に供した。また、日本読書学会、日本国語教育学会等で学会発表を行うと共に、理論の一部を出版した。 5.その他:幼稚園、小学校に所属する教員とともに研究会を立ち上げ、月例で研究会を開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1.文献調査:小学校のみならず中学校まで視野に入れ、国語教科書における教科横断的内容の悉皆調査を行い、その成果を関係者に報告することができた。英語教育、日本語教育、人格教育についても所定の目的を果たせた。 2.臨床調査:当初の予定では研究の枠組みに入れていなかった幼小接続という視点から、汎用型言語能力形成のためのカリキュラム開発に取り組み、信州大学教育学部附属松本幼稚園・小学校が研究開発校に認定されたことから、ここをフィールドとして絵本読み聞かせと国語・英語の統括的なカリキュラム開発に取り組むことができた。 3.海外調査:今期、新たに多国籍児童の通う小学校の調査協力関係が生まれ、文化の多様性に対応すべき汎用型言語能力の指針を得る重要なフィールドとなった。また、2016年度にイギリスに新設されたChartered college of teachingに日本人研究者として初めて訪問し、所長のDame Alison Peacock氏より、最新の教育課題やイギリスの取り組みをうかがうことができた。更に、フランスのエコール・フレネへの訪問調査(2日間)を実施した。なお、海外調査の研究成果については、今期7月にマドリードで開催される欧州リテラシー学会でラウンドテーブルによる発表が認められている。 4.論文発表等:全国各地で年間20回を越える招待講演を行い、研究成果の公開につとめてきた。また、関連著書4冊を刊行、全国学会誌の査読論文採択掲載、各学術団体の論文発表、研究発表等、年間を通じて研究成果の公開に取り組んできた。 5.その他:本課題にかかる現職幼稚園・小学校教員を交えた実践研究会を立ち上げ、これを主宰した。研究代表者は中央教育審議会教育課程部会国語ワーキングの委員として、本科研によって得られた知見を次期学習指導要領の編集作業に寄与した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.文献調査:研究代表者の藤森は、中学校を中心フィールドとして、新たにデジタル教科書における教科横断的内容の検討を取り入れるとともに、関係文献調査を行う。英語・日本語教育については、研究分担者の徳井が、人格教育については教科化される「道徳」教科書の分析を新井が担当する。いずれも最新の国内外の学術論文・著書の収集に努める。 2.臨床調査:幼小中一貫カリキュラムという視点から、汎用型言語能力形成のための具体的なシラバス開発に取り組み、信州大学教育学部附属松本幼稚園・小学校・中学校、また、研究代表者が全体講師を務める大町市立美麻義務教育学校等をフィールドとして国語・英語・日本語・道徳の教科横断的なカリキュラム開発に取り組む。 3.海外調査:多国籍児童の通う小学校として、Preston park primary schoolへの現地調査を進めるとともに、これまでに調査協力関係の深い中等学校への調査を進める。また、2016年度にイギリスに新設されたChartered college of teachingの活動を観察し、教師教育における汎用型言語能力形成のあり方を探る。 4.論文発表等:全国各地で年間20回を越える招待講演を引き続き行い、研究成果の公開に努める。また、今期中に『読書教育の未来(仮)』を刊行し、本科研の成果の一部を紹介する。全国学会誌の査読論文投稿、各学術団体の論文発表、研究発表等、年間を通じて研究成果の公開に取り組む。また、今期7月にマドリードで開催される欧州リテラシー学会でラウンドテーブルで発表を行う。 5.その他:本科研費にかかる現職幼稚園・小学校教員を交えた実践研究会の枠を広げると共に、11月には全国に向けた公開研究会を実施する。
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Research Products
(26 results)