2018 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of a generic language skill's concept based on language culture point of view and a development of Cross-curricular practical model
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16H03795
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
藤森 裕治 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (00313817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳井 厚子 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (40225751)
新井 浅浩 城西大学, 経営学部, 教授 (80269357)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 言語文化 / 汎用型言語能力 / 教科横断 / 実践モデル / 比較教育研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.国内の調査研究活動:後期中等教育をフィールドとして、主として高等学校における汎用型言語能力育成への調査研究を実施した。平成30年3月に告示された高等学校学習指導要領を受け、今後、各教科書出版社の新しい教科書編集が開始されるので、これについての情報収集を行うとともに、臨床研究として研究協力者のいる長野県野沢北高等学校、同県ケ丘高等学校等への訪問調査を実施し、両校において研究代表者による実践授業を行った。 2.海外の調査研究活動:英国の初等・中等学校を中心に調査研究を行った。調査協力校となっている複数の学校訪問のほか、特別支援学校高等部への訪問調査を行い、インクルーシブ教育の観点から研究課題についての知見を深めた。期間中、ロンドンのチェルシー、ケンジントン教育局主任指導主事のKeith Tysoe氏、全英教師教育協会理事長のAlison Peacock氏、Learning Power Approachの提唱者であるGuy Claxton氏らへのインタビュー調査を実施した。また、ハンガリーにおいて学校訪問調査を行い、コダーイ・メソッドに基づく幼児教育段階からの系統的な実践モデルのあり方について情報を集めた。2018年8月には欧州幼児教育学会において口頭発表を行い、汎用型言語能力育成の観点から幼小中一貫の実践モデルと評価システム、物理的環境について各国の会員に研究成果を説明し議論した。 3.論文・出版活動:第134回全国大学国語教育学会で個人研究発表、同135回大会で課題研究発表を行った。これらの発表をもとに、平成29年度までの成果として査読付きの学会誌を初め、のべ20件を超える著書・論文・学会発表・講演を行った。また、日本読書学会の記念書籍の編集委員長として書籍刊行業務を進め、本研究の成果をまとめた。 4.その他:高等学校学習指導要領解説国語編の「言語文化」の解説を担当した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1.国内での後期中等教育を中心とした調査研究及び学習指導要領解説国語編の編集協力に加え、信州大学附属松本幼稚園・小学校・中学校における文部科学省研究開発として、幼小接続カリキュラムをも視野に入れた広汎な調査研究及び実践開発活動が推進された。 2.期間中に15回を越える招待講演・学校指導を行い、調査研究の成果を広く各地の学校に紹介・普及するとともに、大学入試センター共通テストのプレ問題作成委員として、本研究の成果に基づく知見を提供した。 3.欧州幼児教育学会、全国大学国語教育学会、日本国語教育学会における発表を行うことによって本研究の成果を国内外の研究者に示し、参加した研究者らと有意義な情報好感を行うことができた。 4.英国における地域の指導的立場の学校への訪問調査に加え、特別支援学校(高等部)への訪問調査が実現し、インクルーシブ教育の視点から英国における汎用型言語能力育成への取り組みにかかる情報を具体的に入手することができた。また、ハンガリーにおける学校訪問調査により、コダーイ・メソッドに基づく子供の情操教育実践について識見を得、これを初等・中等教育へと接続させる際の方法論的知見として活用することが検討された。さらに、Guy Claxton氏のLearning Power Approachの実践理論を取り入れたカリキュラム・モデル構築が検討された。 5.3年間の研究を踏まえ、明治図書出版の協力を得て『学力観を問い直す:国語科における資質・能力と見方・考え方』を刊行するに至り、ひろく一般国民に本研究の成果を普及することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究活動によって、以下のデータ及び知見が積み重ねられた。①汎用的言語能力を育成するための小・中・高等学校における教材・活動例と系統表、②国内外における教科横断型の授業研究記録、③汎用的言語能力を育成する教科横断型のカリキュラム及び教材配列例。 これらをもとに構築・開発された言語文化の観点に基づく汎用的言語能力概念、及び教科横断型実践モデルを発信する。なお、追加研究として本科研によって見出された汎用的言語能力概念の理論的基盤となるCreating Learning without Limits project、Learning Power Approachについて、それぞれの理論提供者であるAlison Peacock、Guy Claxton氏への聞き取り調査を追加し、最新情報を獲得する。 【学界における成果発表】1)学会発表:日本読書学会、日本国語教育学会、全国大学国語教育学会、欧州リテラシー学会、欧州幼児教育学会、国際日本語教育学会、比較教育学会等において、研究発表またはシンポジウムを行う。2)論文発表:「読書科学」、「月刊国語教育研究」、「国語科教育」等の学会誌に、本研究の成果を論文発表する。3)著書刊行:Learning without Limits projectにおける学力観・評価観をまとめた"Assessment for Creating Learning without Limits"(Peacock,2016)を翻訳出版する。また、汎用的言語能力にかかる研究報告書を刊行する。 【教育界及び社会に向けた成果の還元】1)講演・研修:本科研の成果をもとに、国内各地の教育委員会・研究会等で主催される講演会・研修会において、年間のべ10回程度の講演・ワークショップを行う。2)更新講習:教員免許更新講習において、本研究成果をもとに新教育課程における実践の方向性を示す。
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Research Products
(24 results)