2018 Fiscal Year Annual Research Report
自国史を越えた歴史認識の共有をめざす日韓共通歴史教材の発展的研究
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16H03801
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
田中 暁龍 桜美林大学, 人文学系, 教授 (30511852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 知子 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (10325433)
國分 麻里 筑波大学, 人間系, 准教授 (10566003)
鈴木 哲雄 都留文科大学, 教養学部, 教授 (20374746)
山口 公一 追手門学院大学, 経済学部, 准教授 (20447585)
小瑶 史朗 弘前大学, 教育学部, 准教授 (50574331)
小松 伸之 清和大学, 法学部, 准教授 (80609777)
山崎 雅稔 國學院大學, 文学部, 准教授 (40459392)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 日本史 / 教育学 / 韓国史 / 教材学 / 国際理解 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、4月・6月・10月・12月・2月、の5回の国内研究会において教材案を検討するとともに、韓国側研究者との事前会議を経て、第9回日韓国際シンポジウムを開催し、事前に提出された教材案の冊子『日韓共通歴史教材 最終案(日本語版・韓国語版)No.8』を製本して読み合わせ討論を行った。 シンポジウムに向けた準備として、平成30年9月30日(日)、研究代表者と研究協力者1名とで韓国を訪問し、韓国学中央研究院の会議室において、日韓代表者会議を行った。そこでは、前年度の研究成果と課題を踏まえて、本年度の全体計画と活動計画の確認を行い、前年度における課題とされた、教材作成上の共通認識の形成のための討議を行った。特に、全体構成のあり方と個別教材の課題について検討を行った。そして、日韓共通歴史教材案の原稿送付と翻訳、編集、そして印刷と教材集の送付の流れや、教材案作成上の課題については時間をかけて検討した。また代表者会議に先行し、9月29日(土)には新教材として取り上げる予定の「DMZ」にかかわる認識を深めるため、白馬高地から第2トンネル・展示室、鉄原平和展望台、旧朝鮮労働党の党舎等を調査見学し、資料の収集に当たった。 平成31年1月5・6日、沖縄・沖縄県青年会館において、第9回日韓国際シンポジウムを開催し(7日は沖縄中南部のフィールドワークを実施)、そこでは時代別も含めて全体会をもって討議が行われ、各教材案の論点を中心に検討を行った。その際、全体の章立てを含めた構成についての確認を行うとともに、教材案そのものの統廃合が検討され、全体構成について合意形成を行った。 シンポジウム後の2月の国内研究会では、日韓共通教材集の刊行に向けて、編集委員会の構成と執筆要項を検討し、確認を行った。また、著作権確認表の提出についても、確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本側は研究代表者と7名の研究分担者、15名程の研究協力者が、韓国側は7名の研究協力者が、それぞれ国内研究会を定期的に継続開催してきた。そして、平成30年9月30日(日)、研究代表者と研究協力者1名とで韓国を訪問し、韓国学中央研究院の会議室において、日韓代表者会議を行い、シンポジウムへの準備を行い、翌平成31年1月5・6日に沖縄・沖縄県青年会館で、第9回日韓国際シンポジウムを開催した。シンポジウム開催にあたっては、日韓両国で教材案を提示し合い、その教材案をもとに、『日韓共通歴史教材 最終案(日本版・韓国版)No.8』を編集・製本して成果を共有し、かつ進捗状況を確認した。 日韓共通歴史教材集は、第1章「文化にふれる」、第2章「時代別テーマ(前近代・近現代)」、第3章「歴史問題を考える」、第4章「日本と韓国を歩く」、の4章構成をとり、日本と韓国の類似性・差違性を衣食住などの文化からとらえさせたり、日韓間の現代的な課題をとりあげたり、通史的な視野から主題的なテーマを設定したり、日韓の地域の視点から歴史をとらえるなど、特色ある教材を作成した。 今年度の成果を踏まえて、検討した教材案を平成31年度に刊行することを予定している。平成31年2月の国内研究会では、刊行の準備として執筆要項案を確定し、出版の計画も進みつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度においては、科研の最終段階として日韓共通歴史教材の発刊に向けての原稿執筆および編集作業が中心的な研究となるので、国内研究会の開催によって共通認識を確認する必要がある。すでに執筆要項を確認し、研究分担者や研究協力者に対して、最終原稿の執筆と著作権確認表の作成を御願いしており、平成31年5月を日韓共通歴史教材の原稿締切としている。一部、韓国側にも原稿の提出を御願いし、または確認を御願いしていることから、この点で韓国側との連絡・調整が必要となる。 今後、すでに発足した編集委員による編集作業を行い、各章ごとの編集を経て修正原稿の提出を依頼し、平成31年8月中に完全原稿に向けた最終調整を行い、10月には完全原稿の入稿を予定している。そして平成31年度末の平成32年1月には、日韓共通歴史教材の発刊を予定している。発刊した後には、高等学校の教育者をはじめ、大学や研究機関の研究者等に発送し、研究成果の公開を予定している。
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