2016 Fiscal Year Annual Research Report
運動の「ぎこちなさ」を要因とする書字困難児に対する早期支援プログラムの開発
Project/Area Number |
16H03807
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
勝二 博亮 茨城大学, 教育学部, 教授 (30302318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋木 久美 茨城大学, 教育学部, 教授 (60361284)
渡邊 將司 茨城大学, 教育学部, 准教授 (80435213)
増田 貴人 弘前大学, 教育学部, 准教授 (20369755)
平野 大輔 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 講師 (90572397)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 発達性協調運動障害 / 不器用 / 早期発見・早期支援 / 幼小連携 / 発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
幼児期において発達上つまずきのみられる子どもへの適切な対応は小学校入門期への移行支援を考えるうえで重要な視点となる。本研究では,これまであまり注目されてこなかった「ぎこちなさ」のある子どもにおいて,運動系の困難さと学習面での基礎となる運筆技能との関連を行動測度のみならず,生体機能計測を駆使した神経教育学的アプローチにより明らかにすることを目的としている。 平成28年度においては,運動にぎこちなさのある子どもに関わる実態調査とそれにもとづくチェックリストの作成を行った。チェックリストに関しては,保護者むけにアンケート調査を実施し,あわせてM-ABC2による実技評価を行い,両者の関連性を検討した。その結果,年長児においてM-ABC2との結果に相関性が認められ,ぎこちなさを評価するチェックリストとして一定の妥当性が得られた。さらに,書字評価に関しては,Anoto Digital Penを用いて幼児期から小学校1年生を対象として,運筆プロセスを定量的に評価した。その結果,幼児期から小学校入門期に向けて,運筆能力に変化が認められるとともに,字形評価と運筆プロセスとの間に一定の関連性を得ることができた。さらに,書字指導法としてなぞり書きと視写がよく用いられるが,これらの脳機能的意義を明らかにするために,健常大学生を対象として脳機能計測を実施した。その結果,全体的に前頭領域の活動の高まりは認められず,書字行為そのものに認知的負荷が少ない状況であることが明らかとなった。また,なぞり書きにくらべて視写の際には視空間認知に関わる領域での活性化が認められたため,視写をする際には空間認知能力が重要となることが推察された。 これらの研究成果は,共同研究者と共に,茨城大学において幼児期における不器用さの支援に関わるシンポジウムを保育者や教員対象に実施し,129名の参加者を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに研究は進んでおり,研究打ち合わせを兼ねたシンポジウムを開催することもできた。これらの理由から順調あるいはそれ以上に成果が得られたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
年度末に開いたシンポジウムにより,共同研究者間の連携・協力体制を確認することができた。今後も定期的に研究の進捗状況を確認することで推進していけるものと思われる。さらに,連携研究者として,1名学内の研究者を加えることで,さらに研究の推進をはかりたいと考えている。
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Research Products
(16 results)