2016 Fiscal Year Annual Research Report
圧縮性および非圧縮性粘性流体の相転移を伴う自由境界問題の適切性と安定性
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16H03945
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清水 扇丈 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (50273165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 芳則 京都大学, 人間・環境学研究科, 名誉教授 (30115646)
小林 孝行 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (50272133)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自由境界問題 / 圧縮性粘性流体 / Navier-Stokes方程式 / 最大正則性 / 相転移 / 2相流体 / 局所適切性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、定温条件下で有界な領域における圧縮性-圧縮性2相流に対し、相転移を伴う自由境界(界面)問題の解の時間局所存在を証明した。まず、自由境界を固定境界に半沢変換を用いて変換する。半沢変換により自由境界は固定境界からの高さの関数で表され、相転移モデルは準線形方程式系となる. 科学研究費助成事業前研究課題(24340025)で行った非圧縮-非圧縮2相流の場合と異なり、圧縮-圧縮2相流の場合は、 密度関数の正則性不足を解消するため弱形式を考えねばならず、流速の接線方向にジャンプなしの条件を満たすより複雑な半沢変換を用いた。質量保存で得られる密度方程式は半沢変換により輸送方程式となる。密度は双曲型方程式の解であり、特性曲線の方法により流速と高さの関数として得られた。次に、線形化問題に対する最大正則性をH無限解析の方法で証明した。非圧縮-非圧縮2相流の場合は、任意の大きさの初期流速に対して線形問題は局所適切であったが、圧縮-圧縮2相流では、初期流速は大きくても構わないがその法線方向の2相間の差が小さいという仮定が線形問題の局所適切性に本質的な仮定となった。非圧縮-非圧縮2相流では、線形問題の最大正則性定理が得られれば、その直接の結果として縮小写像の原理により時間局所適切性が示せた。しかし圧縮-圧縮2相流では、密度の縮小評価が密度の解空間で成立しないため, 空間の正則性を落とした弱位相に持ち込んだ。また、弱位相でも境界上縮小評価を回復できず、非線形作用素を縮小作用素とコンパクトな作用素の和に分けて不動点定理により解の存在を示した。縮小性のないコンパクト作用素を含む不動点定理では一意であることは示せず、一意性は他の方法で示すという課題が残された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
定温条件下で有界な領域における圧縮性-圧縮性2相流に対し、相転移を伴う自由境界(界面)問題の解の時間局所存在が証明され、研究はおおむね順調に進展している。適切性のためには一意性が示されなければならないが、この点は課題として残されている。
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Strategy for Future Research Activity |
定温条件下で有界な領域における圧縮性-非圧縮性2相流に対し、相転移を伴う自由境界(界面)問題の解の時間局所存在を証明する。達成できれば、温度も未知関数とした有界な領域における圧縮性-圧縮性、圧縮性-非圧縮性2相流に対し、相転移を伴う自由境界(界面)問題の解の時間局所存在を証明する。また、課題として残されている一意性の証明を試みる。
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Research Products
(16 results)