2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H04059
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
亀田 真吾 立教大学, 理学部, 准教授 (30455464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 豪 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (50734026)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 系外惑星 / 紫外線 / 外圏大気 / 水素 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球に類似した系外惑星の発見に向けて大型計画が複数進行しており、地球型大気の観測検討が急速に進みつつある。これは超高層物理学の新たなる最重要課題であるにもかかわらず、天文学分野を中心に観測的研究が進められてきた背景から、地球大気の主要な物理量である紫外線輻射量や酸素原子量については、観測の見込みすら立っていない。この状況を打破するために、本研究では地球惑星大気の観測で蓄積された技術を継承し、系外惑星観測用紫外線宇宙望遠鏡の開発を行うことを目的としている。本年度は、ロシアが開発中の1.7m紫外線宇宙望遠鏡への装置提供の打診を受け、紫外線分光器の設計検討と、検出器の技術開発を進めた。昨年度の時点で、表面形状を変更したMCP検出器を完成させ、検出効率が向上するという見込みを得ており、本年度はさらに性能試験を進め、従来と同様の光電面であるヨウ化セシウムを使った場合に、1.6倍程度まで効率が向上することが確認された。また、さらに高い効率の獲得を目指し、二酸化マンガン、二酸化亜鉛を光電面に用いた検出器の試作を行った。電子・イオンの検出効率が向上することが知られているが、紫外線での効率測定は行われていない。簡易的な測定では顕著に高い量子効率は確認されていないが、来年度に詳細な測定を行う予定である。一方、本計画で対象とする地球型惑星の外圏大気の研究に直結する、地球の水素外圏大気の観測結果に関する論文を投稿し、受理された。これにより、水素大気の広がりに関する理論モデルが検証され、太陽系外地球型惑星の外圏大気分布の模擬計算を行うことができる。本年度のうちに、この結果に基づき、海外研究者と共同研究を開始することができた。また、この結果についてプレスリリースを実施し、新聞の主要紙4社に加え、多数の地方紙に記事として取り上げられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地球の水素外圏大気の観測に成功し、地球の水素が30万km以上の遠方まで到達していることを示し、太陽系外の地球型惑星の外圏大気にも適用可能な外圏大気モデルの検証に成功した。これにより、地球型外圏大気の推定により観測実現性の検討内容をより堅実なものとすることができた。また、この結果を基に海外研究者との共同研究も開始しており、共著論文がほぼ完成している状況となっている。一方、残念ながら、ロシアの宇宙望遠鏡計画の遅れに伴い、JAXA小規模計画提案は不採択であったが、観測機器搭載のスペースは確保されており、引き続き開発費用の獲得を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ロシアの1.7m紫外線宇宙望遠鏡への装置提供の手段を模索しつつ、検出器の効率向上に関する技術開発を進める。光電面に、新たに二酸化マンガンや二酸化亜鉛を採用したMCP検出器について、波長特性を取得し、標準的に使用されるヨウ化セシウムに対する優位性を確認する。また、最終年度の活動として、これまでの活動をまとめ、特にこれらの装置を使った場合の太陽系外地球型惑星の水素・酸素大気の観測実現性に関する研究内容を中心に論文にまとめる。
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Remarks |
データ公開用のHP
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Initial products of Akatsuki 1-μm camera2018
Author(s)
Iwagami N., Sakanoi T., Hashimoto G., Sawai K., Ohtsuki S., Takagi S., Uemizu K., Ueno M., Kameda S., Murakami S., Nakamura M., Ishii N., Abe T., Satoh T., Imamura T., Hirose C., Suzuki M., Hirata N., Yamazaki A., Sato T., Yamada M., Yamamoto Y., Fukuhara T., Ogohara K., Ando H., Sugiyama K., Kashimura H., Kouyama, T.
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Journal Title
Earth, Planets and Space
Volume: 70
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Overview of Akatsuki data products: definition of data levels, method and accuracy of geometric correction2017
Author(s)
Ogohara K., Takagi M., Murakami S., Horinouchi T., Yamada M., Kouyama T., Hashimoto G., Imamura T., Yamamoto Y., Kashimura H., Hirata N., Sato N., Yamazaki A., Satoh T., Iwagami N., Taguchi M., Watanabe S., Sato T., Ohtsuki S., Fukuhara T., Futaguchi M., Sakanoi T., Kameda S.他
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Journal Title
Earth, Planets and Space
Volume: 69
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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