Outline of Annual Research Achievements |
地球に類似した系外惑星の発見に向けて大型計画が複数進行しており, 地球型大気の観測検討が急速に進みつつある. これは超高層物理学の新たなる最重要課題であるにもかかわらず, 天文学分野を中心に観測的研究が進められてきた背景から, 地球大気の主要な物理量である紫外線輻射量や酸素原子量については, 観測の見込みすら立っていない. この状況を打破するために, 本研究では地球惑星大気の観測で蓄積された技術を継承し,太陽系外の地球型惑星の観測手法の検討と技術開発を進めてきた. 地球では, 金星や火星に比べて, 大気中に酸素が豊富に存在し, 高層大気が大きく広がっている. さらに, 高層大気の広がりは, 大気の温度と関係する. 地球では, CO2が少ないため高層大気は高温化し, 大きく広がっている. こうした違いは, M型星まわりのハビタブルゾーンのように, 強紫外線環境で特に顕著である. そこで2018年度は, 地球の高層大気のシミュレーションを通じた研究を進め, M型星のハビタブルゾーンにおける強紫外線環境での酸素原子大気の広がりを推定し, 観測実現性の検討を進めた. また, 2017年度に開発したファネル型MCPについて, さらに安定度を高めるために真空封止型のMCPアッセンブリの設計を進めた. これらの結果をもとにロシアの共同研究者との協議を進めつつ, JAXA-ロシア間の契約に向けた活動を進め, JAXA宇宙理学委員会での活動において, 小規模計画を対象とした「小規模プロジェクトWG」から, より大型の開発計画を対象とする「小規模プロジェクトWG(戦略的国際共同計画)」に変更されることが承認された.
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