2016 Fiscal Year Annual Research Report
揮発性有機物質その場一斉分析のための超高分解能質量分析システムの開発
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16H04165
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
豊田 岐聡 大阪大学, 理学研究科, 教授 (80283828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古谷 浩志 大阪大学, 科学機器リノベーション・工作支援センター, 准教授 (40536512)
本堂 敏信 大阪大学, 理学研究科, 招へい研究員 (90723924)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 環境計測 / マルチターン飛行時間型質量分析計 / プロトン移動反応イオン化 / 揮発性有機物質計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,以下の2項目を実施した. [1] PTRイオン源をMULTUMに取り付けるためのイオン光学系設計・製作と装置の最適化 既存のMULTUM-S IIは,PTRイオン源のような大気圧に近い真空度から,差動排気系を介して高い透過率でイオンを輸送しMULTUMに導入するイオ ン光学系は,新たに開発しなくてはならなかった.ここで問題になるのは,小型化である.真空ポンプを小型化すると排気量が減り,差動排気のためのスキマーの孔を小さくせざるを得なくなり,イオンの透過率も落ちてしまう .そこで,豊田らの有するイオン軌道シミュレーション技術で,四重極イオンガイドとアインツェルレンズによる高効率輸送系を設計した.イオンのパルス化は,一般的に用いられている直交加速(OA)法を採用した.しかしながら,MULTUMでは多重周回部に扇形電場を用いていており,イオンを周回部に打ち込む時にイオンビームの幅に制限がある.そのためにイオン利用効率が落ちて,本研究で目標とする十分な検出感度を達成することが出来ない.そこで,連直交加速部にイオンを導入する前に,イオンガイド部でイオンを蓄積し,同期して排出する方法を採用した.その結果,感度を100倍以上向上させることに成功した. [2] PTRイオン源の最適化 提案者らは,すでにフロー反応管とコロナ放電を用いたPTRイオン源を開発しており,予備実験として現有のフ ーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計(FT-ICRMS)に取付け,VOCs標準ガスの超高分解能PTR質量分析に成功している.このPTRイオン源を元に,ドリフトチューブを加えたPTRイオン源を開発した.ドリフトチュ ーブ型反応管では,単純なフロー反応管と違い電場によってもイオンが移送されるため,感度向上ならびに水クラスターイオンの生成が抑制され,質量スペクトルの単純化が可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PTRイオン源の改良と,マルチターン飛行時間型質量分析計への接続ならびに評価を予定通り行えたため.
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Strategy for Future Research Activity |
PTRイオン源をとりつけたMULTUMの開発は順調に進んでおり,性能も予定通りに出ている.今後,計画通りにシステムの最適化と性能評価,VOCsの連続測定を進めていく.
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Research Products
(3 results)