2017 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病患者の機能的移動能力と認知機能の計測・評価システムの開発
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16H04290
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 正樹 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (10398638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 洋平 畿央大学, 健康科学部, 准教授 (80511568)
青山 朋樹 京都大学, 医学研究科, 准教授 (90378886)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 医療・福祉 / 知能ロボティクス / 計測工学 / 解析・評価 / 機械力学・制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度、Timed Up and Go(TUG)試験時の計測・評価が可能なシステムを開発した。TUG試験は高齢者の新体力測定の項目にも含まれており、椅子に座った状態から立ち上がり、3 m前方の目印を旋回して再び椅子に着座する運動課題である。これまでは、TUG遂行時間のみを評価していたが、本申請課題では開始の合図から一歩目が反応するまでの反応時間から認知能力、一歩目が反応してから立ち上がるまでの時間から敏捷性(筋力)を、約3 mの直進歩行から歩行能力を、旋回運動時の頭部、胴体、両脚、両腕の動きから動的バランス能力を評価し、パーキンソン病患者(PD患者)の機能的運動能力を評価する。 TUGの旋回運動時には、RGB-Dセンサで取得する各部位の距離情報が少なくなる、あるいは、欠損する可能性があるため、深層学習を用いた方法を検討する前に、Iterative Closest Point (ICP)アルゴリズムを用いた位置合わせの技術を開発した。また、情報欠損が発生する可能性が高い上腕、下腕、上肢、下肢について歩行中の運動モデルを導出してカルマンフィルタを設計し、観測値の対応付けや追跡技術を導入し、旋回運動時にも位置・速度が推定可能な技術へと拡張した。現在、3次元動作解析システム(VICON社製Bonita-10)を用いて計測精度を検証している。 PD患者は旋回運動時にすくみ足(急に足がすくみ、停止してしまう現象で転倒の要因にもなる)が出やすい傾向があることが報告されている。PD患者がTUG課題を遂行している際のすくみ足の発生の有無を確認すると共に、PD患者のTUGにおける運動戦略について調査した結果,PD患者は3m先のコーンの近くを通り,急旋回する傾向にあり,その傾向が強い者ほど方向転換時の歩幅がより低下する傾向にあることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、RGB-Dセンサを用いた歩行計測システムを開発した。複数のRGB-Dセンサを同期を取って計測する技術の構築と複数台で取得した深度情報(pcd)をIterative Closest Point (ICP)アルゴリズムを用いて統合し、各関節位置を検出し、カルマンフィルタを用いる技術を確立した。また、構築した歩行計測システムを59名の高齢者を被験者とした被験者実験を実施し、有用性を検証した。 また、PD患者がTUG課題を遂行している際のすくみ足の発生の有無を確認すると共に、PD患者のTUGにおける運動戦略について調査した結果,PD患者は3m先のコーンの近くを通り,急旋回する傾向にあり,その傾向が強い者ほど方向転換時の歩幅がより低下する傾向にあることが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度実施予定であった複数台のRGB-Dセンサから取得した深度情報(pcdデータ)を深層学習を用いて統合する方法を構築する。また、当初の計画通り、開発した計測・評価機器を用いて、10m歩行計測とTUGを課題とし、様々な症状のPD患者の歩行計測および同じPD患者の継続的な歩行計測を実施し、機能的運動能力と認知機能の評価方法を立案・検証する。 さらに、長距離歩行試験時の計測・評価が可能な移動型のシステムとして、計測・評価移動ロボットMER(Measurement and Evaluation Mobile Robot)を開発する。開発したRGB-Dセンサや足圧センサを用いた計測・評価システムをMERに搭載した際の計測精度を重点的に検証する。その後、PD患者の長距離歩行試験を継続して実施する。
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Research Products
(13 results)