2016 Fiscal Year Annual Research Report
片麻痺患者の起立動作における筋シナジー構造の同定とリハビリテーション手法の構築
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16H04293
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
淺間 一 東京大学, 工学系研究科, 教授 (50184156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 淳 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30334957)
安 ち 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (70747873)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 筋シナジー / 立ち上がり動作 / 片麻痺 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,片麻痺患者の筋シナジー構造の同定を行うために,無線筋電計,光学式モーションキャプチャ,床反力計を用いて,筋活動・身体軌道・床反力を同時に計測するシステムを構築した.筋活動の計測では,足・膝・股・腰関節の伸展・屈曲に寄与する16種の筋を計測し,特に片麻痺患者においては,運動が左右で非対称になることに着目し,両側に筋電計を貼り付けた.身体軌道の計測では,HelenHayesのマーカーセットに基づいた身体部位の計測をし,筋骨格モデルを用いて重心軌道の算出をした. 実際の片麻痺患者を対象に起立動作の計測実験を行った.得られた筋活動データから筋シナジーを抽出し,関節角度や重心軌道の計算を行った.また片麻痺の主たる原因である脳卒中などは高齢者に多く見られることから,同年齢帯の健常高齢者においても同様の運動計測を行い,筋シナジー構造や運動の比較を行った. その結果,健常高齢者では若年者と同様に,4つの筋シナジーが存在し,上体の前屈,離床,全身の離臀,姿勢の制御を担っていることが分かった.それに対して片麻痺患者では健常高齢者と比べてより上体を前屈させており,足裏に重心を乗せてから全身を伸展させているということがわかった.それと対応して,4つの筋シナジーのうち特に2番目の離床を担う筋シナジーの活動タイミングが片麻痺患者では遅れていることがわかった.また患者の重症度によっては,4つの筋シナジーを個々に活動させることができず,一部の筋シナジーが統合してしまうという現象が起こることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本基盤研究の目的の1つは,片麻痺患者における筋シナジーの変性構造の同定である.平成28年度では片麻痺患者の立ち上がり動作を安全に計測するシステムを構築することができた.またその計測システムを用いて片麻痺患者とその比較対象である健常高齢者の運動を計測し,実際に片麻痺患者における筋シナジー構造の変化を同定することができ,研究は順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本基盤研究の目的の1つである筋シナジーを制御する感覚情報の解明に取り組む.片麻痺患者の運動障害は感覚情報の阻害が原因の1つであると考えられるため,各筋シナジーを制御する感覚の同定を行う.具体的には健常者を対象に,前庭感覚や体性感覚を阻害した時の運動を計測し,筋シナジーの変化を調べることとする.
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Research Products
(13 results)