2016 Fiscal Year Annual Research Report
気泡圧壊誘導による集中放電穿孔法による針なし気泡注射器の創成
Project/Area Number |
16H04307
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山西 陽子 九州大学, 工学研究院, 教授 (50384029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川原 知洋 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 准教授 (20575162)
前田 真吾 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (40424808)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | BioMEMS / マイクロTAS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はこれまで確認されてきた高速発射気泡圧壊現象(キャビテーション)の先鋭形状ガスに放電現象を誘導かつ集中させて,物理的かつ電気的な穿孔を同時に達成し,これまでにない低侵襲かつ穿孔深度の深い穿孔能力を生み出す革新的技術を生み出すものである.これまでの研究において気泡圧壊現象と気液界面に付着する薬剤や遺伝子を用いて細胞レベルの遺伝子導入を達成してきたが,より大きいスケールにおける注射器としての機能を十分に発揮させるためには,より深い穿孔能力と試薬輸送能力が求められる.本研究ではプラズマキャビテーション現象を制御し,またMEMS 技術を用いた高密度多筒式インジェクタを作成することによって皮内注射器等実用化レベルの新しい気泡注射器を生み出すことを目標として研究を行いました. 1年目の研究成果として,まず多筒式気泡噴出部の設計値の最適化を達成し,3次元構造の気泡噴出と変わらない威力で基板上より気泡を高速で発射することに成功した点が挙げられる.気泡噴出部の内径・外径比や先端気泡リザーバのアスペクト比及び隣り合う筒の間隔により気泡噴出と回りの流体環境がどのように変化するかについての知見を得たことより最適設計に繋げることができた. またもう一つの成果として気泡噴出部を膜で覆われたユニット部にパッケージングすることにより,オンデマンドに薬剤を噴出することのできるインプラント注射としての構成を得ることにも成功した.本研究成果により埋込式もしくはパッチ式2次元注射器としての電界誘起気泡の応用展開の拡張性を広げることについても達成したと言える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究において気泡圧壊現象と気液界面に付着する薬剤や遺伝子を用いて細胞レベルの遺伝子導入を達成してきたが,より大きいスケールにおける注射器としての機能を十分に発揮させるために,より深い穿孔能力と試薬輸送能力を達成すべく本研究を進めた結果,初年度の成果として,目標の一つである試薬輸送能力の向上について多筒式インジェクタの実現により達成したといえる.またインプラント注射器などの実用化への応用展開に発展しつつあることより,本研究プロジェクトは概ね順調に進展しているといえる.目標のもう一つである深い穿孔能力にしては,気泡の中に放電が走る特異な現象を制御する研究を進めており,再現性のある気泡の発射の完成まで間近である.この研究項目についても2年目以降もメカトロを専門とする研究者等と連携しながら鋭意研究を進めていきたい.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の予定としては,もう一つの目標であるより深い穿孔能力の達成にむけた研究を進めるものとする.構造設計の最適化を進めることのベクトルと印加パルスの最適化を進めるベクトルの2つの方向から目標を達成させるべく,研究を進める.まず構造設計については,衝撃波を一点に収束させる治具を取り付けるなどの工夫することにより穿孔能力を増大させる工夫をすることと,電気的な放電を制御するべく分担者である九州工業大学の川原知洋先生とともに印加パルスの最適化を行ない,低侵襲かつ深い穿孔能力を達成するための電界誘起気泡発射デバイスのシステムとしての最適化設計を行うものとする.
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